さすがスター。そんな感じです。28日に甲子園で予定されていた阪神の交流戦初戦・日本ハム戦は午後4時40分、悪天候のため、中止になりました。その直前「様子はどう?」と球場ロビーに登場したのが日本ハム新庄剛志監督でした。
姿を見せれば関係者の注目を一身に浴びます。甲子園と新庄。かつてを知る人、いや知らない人でもそのオーラを感じてしまう。スターとは、こういう存在を言うのでしょう。
そこで思うのは阪神の現状です。もちろん虎党にはファン、ひいきの選手はいるでしょう。しかし誰もが「彼は別」と言う、いわゆるスターという存在がいるか、と言えばどうか。
独断ですが現在、阪神最大のスターは岡田彰布監督かもしれません。その一挙手一投足がメディアに取り上げられるのはもちろん、それを意に介さない姿勢でいられるのがスターの条件と感じるからです。
では選手にはいないでしょうか。いや、いると思います。ズバリ、佐藤輝明。大きな体で当たればどこまでも球を飛ばすパワーを秘めています。見た目もつかみどころがない。普段のファッションは今どきの若者風。地元・関西出身でもあり、コンスタントに活躍すれば間違いなくスターと言えるでしょう。
現在は攻守に結果が出ず、岡田監督の決断でファームにいます。醸し出すムードがマイナスに受け取られることもあるようで、勝負に徹する指揮官からすれば無理もないことでしょう。
新庄監督も現役時代、いろいろ話題を振りまきました。95年には2軍で正座する異例の事態になったことも。時代も違うので一概には言えませんが、期待の大きさとこたえられない歯がゆさなど共通するものがあるかもしれません。そこで新庄監督に聞きました。
「佐藤輝はどうしたらいいと思う?」。
「いやあ。だからね。1年目のフォームというか。早くタイミングを取って、浜風に乗せて、左中間に飛球を上げるあの感じを取り戻すことじゃないですか」
即答でした。実は佐藤輝が新人だった21年、新庄氏は日刊スポーツの企画で阪神・宜野座キャンプをリポートしています。そのとき「1球のファウルで分かった。このコは逆方向にも放り込めるって。ボールへの“入り”がバリー・ボンズに似てますもん」などと評価していたのです。
その年、佐藤輝は新人ながら活躍しました。だからこそ「原点に返れ」と言いたかったのでしょう。続けて左のこぶしで自分の胸をポンとたたき、こう言ったのです。
「まあ、ここの問題でしょ?」。メンタル面を指摘しました。それはそう。だから聞いているのです。そう言うと「だって話したこともないし、彼がどんな感じなのかは分からないですよ。でもね…」。
間を取った後、こう言い切りました。「オレなら直せる」。こういうところが新庄氏です。シーズン中は難しいでしょうが一度、話す機会があれば…などと思ったりするのです。【編集委員・高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「高原のねごと」)




