バッテリーの“夢”は、4年後に持ち越される。

東京6大学野球の早大は9日、アスリート選抜入試で合格した4人が練習に合流した。東京・東伏見の安部球場。守備練習でマスクをかぶる捕手陣の中、大きな体で目を引いたのが、中京大中京(愛知)から来た印出太一捕手だ。身長184センチ、体重85キロの偉丈夫は「いよいよスタートしたなという気持ちです。初日で、かなり緊張しましたけど、自分なりに出来たかなと思います」と振り返った。

早大を志望したのは、高2の夏、地元・名古屋で行われたオール早慶戦を観戦したのがきっかけだった。「こういう伝統のある学校で勝負したい」という思いが芽生えた。その時、一緒に見に行ったのが、バッテリーを組んでいた高橋宏斗投手だった。その高橋は、兄が慶大ということもあり、慶大を志した。印出は「早慶戦は日本一のカード。宏斗と『早慶戦で戦おう。それが優勝決定戦になればいいな』って話してました。夢物語ですけどね」と、照れながら明かした。

高橋は残念ながら、慶大には合格できなかった。「一生懸命、勉強している姿を見ていたので。僕も本当に残念でした」。ただ、結果的に、地元の中日から1位指名を受けてプロに進むことになった。実は、2人の出会いも中日だった。小6の時、ドラゴンズ・ジュニアで一緒にプレー。中学は別々のチームだったが、高校で再会した。だが、同じ6大学の舞台はかなわなかった。

出会い、離れ、出会い、離れ、の繰り返し。次に出会うのは…。印出は「宏斗は、プロでもやっていけると思います。今度は、自分が追いかけていきたい」と、4年後、プロの舞台で三たび出会うことを目指す。「もう1回、バッテリーを組めるよう、4年間、頑張りたいです」とも言った。中日で、とは限るまい。オールスターで。はたまた、侍ジャパンで。2人の野球人生が、また交わる日が楽しみだ。【古川真弥】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「野球手帳」)

19年11月20日、高橋宏斗(右)と笑顔で話す印出太一
19年11月20日、高橋宏斗(右)と笑顔で話す印出太一