19年までの10年ひと区切りをテーマに阪神を分析し、“猛虎の風説”を検証する企画「この10年、阪神やっぱりこうやった!?」。今回は「阪神は交流戦が苦手?」です。ああ、やっぱり…という結果になりそうですがシーズンの行方を占うイベントだけに重要です。

  ◇   ◇   ◇

今年もあっという間に10日余りとなった。しかし東京五輪イヤーである20年を前に球界のスケジュールは着々と決まっている。五輪前の来年5、6月に行われる交流戦もすでに日程がしっかりと出ている。来季は仙台、札幌があるので旅行を兼ねて出掛けようと思っている虎党のみなさんは予約を急いだ方がいい。

その交流戦、シーズンを戦う上で重要になっているのは野球ファンならみんな知っている。特にセ・リーグだ。これは阪神だけの問題ではないが、どうも交流戦で苦しんでいるイメージが強い。この10年は実際どうだったのか。

球界再編の動きをきっかけに05年から始まった交流戦には「セ・リーグが劣勢」という結果がつきまとっている。過去15年すべての対戦成績を見てもセ・リーグが勝ち越したのは09年の1度だけ。10年からのディケイド=10年間ではものの見事にすべてパ・リーグが勝ち越している。

くしくも交流戦導入の05年、指揮官・岡田彰布の胴上げを最後にリーグ優勝から遠ざかっている阪神はどうか。15年間の通算成績を見ると165勝176敗13分けの勝率4割8分4厘。12球団で8位につけている。セ・リーグでは全体4位の巨人、同7位の中日に次いで3番目だ。それなりに頑張っているとも言えるが、やはり、なかなか苦戦している。

それがここ10年に区切るともっと悪くなってしまっている。90勝112敗8分け、勝率4割4分6厘で12球団中で10位にランクダウン。16年から18年まで3連覇を果たした広島に抜かれる形でセ・リーグでも4位に転落してしまった。

「日本シリーズの結果でも分かるようにパ・リーグの方が強いというのはよく言われることですね。指名打者制がチーム力を上げるのではというのもよく言われる理論です。いまだに注目度では上回る印象のあるセ・リーグに対しての意地もあるのかもしれません」

近大でスポーツマネジメントの研究を続ける黒田次郎准教授もそう話す。広島カープで通訳などを経験した黒田氏だけにセの奮起を促している様子だ。

東京五輪フィーバーに負けず、プロ野球、そして阪神に注目を集めるためにも、助っ人をはじめとする新戦力に活躍してもらって来季こそ交流戦での飛躍を見せてほしいところだ。【編集委員・高原寿夫】