前回の東京五輪があった64年、日本シリーズは阪神と南海ホークスとの関西対決だった。日程が五輪直前、さらに第7戦が10月10日の五輪開会式と重なってしまうなどでシリーズへの注目度は低く、観客数も含め、少し寂しい頂上決戦だったと聞く。

阪神のエキシビションマッチはこの日からオリックス戦だ。両リーグ首位同士、そして関西同士の顔合わせ。もしも秋にこの対決となれば、それ以来、57年ぶりの関西決戦。そうなれば今回は結構、盛り上がるような気はする。

そんな想像もしながら見た試合、目立ったのは救援陣の奮起か。復活期待の先発・藤浪晋太郎は4回2失点だったがその後の5投手が無失点。後半戦はブルペン勝負になるのは間違いない。使える投手は1人でも名乗りを上げてほしいところだ。そこで結果を出せた。対して「もっと頑張れ」と思ったのは若手野手だ。

「マルちゃん(マルテ)、ロハスとかも調整段階が分からない。臨機応変にいかないといけない」。これは前日、虎番キャップたちを前に指揮官・矢野燿大が話したことだ。五輪ブレークを利用し、いったん帰国。再来日して現在はコロナ禍による自主隔離期間が続く助っ人への感想だ。

正直な気持ちだろう。家族に再会し、リフレッシュしてもらうため帰国を許可。それはいい。だが戦力的にみれば、試合出場するかどうかは別にして調整状況は自分の目で見ておきたかったはず。現状はそれができていないということだ。

そんな外国人選手はエキシビションマッチ最後の3連戦となる8日からの楽天戦で合流してくるはず。そうなれば現在、試合に出ている控え、特に若手の出番は減るだろう。はっきり言えばこのオリックス戦が最後のチャンスだ。

北條史也、小野寺暖、あるいは板山祐太郎らはガンガン、闘志をむき出しにしていってほしい。小野寺はこの日も一塁へ頭から滑り込むなど気迫は見せていたが結果がほしいところだ。その意味では途中出場で9回に同点適時打を放った山本泰寛はアピールした。

オリックスは結構、本気モードだ。佐藤輝明への攻め方を見てもそんな感じがする。阪神は交流戦でこのカード、負け越した。エキシビションとはいえ「秋の決戦」も予想される相手、チームとしてもきっちり戦わなければならない。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)

オリックス対阪神 9回表阪神1死満塁、山本は右前2点適時打を放つ(撮影・上山淳一)
オリックス対阪神 9回表阪神1死満塁、山本は右前2点適時打を放つ(撮影・上山淳一)