岩崎優を休養のため、帰阪させて臨んだ試合だった。先発・才木浩人に長いイニングを投げさせようというもくろみ。相手先発はここまで3敗を喫している戸郷翔征だ。負けていいはずはないが、3戦目は選手の状態をキープすることに主眼を置いたと言っていいかもしれない試合だった。

それがこの逆転勝利。才木も通常なら7回で交代していたかもしれないが8回途中まで引っ張れた。指揮官・岡田彰布も「できすぎやろ」と言うようなG倒3連勝になったのだ。阪神に大きな流れがあるのは否定できない。

ブルペンの踏ん張り、原口文仁の代打弾など見どころは多かったがこの試合、雌雄を決したのは1点を追う7回の集中攻撃ではないか。先頭ノイジーが二塁打で出た。続く梅野隆太郎は高いバウンドの投ゴロ。これを処理した戸郷は三塁へ送球した。“ストライク”なら代走・島田海吏のタイミングは微妙だったが、これがそれてしまう。

無死一、三塁。阪神にすれば絶好のチャンスだ。さらに独断で言うと、ここで戸郷には“あるプレッシャー”もかかっていたかもしれない。打席が木浪聖也に回ったことだ。

今季の木浪は「戸郷キラー」である。この試合も2、5回と2安打を放っていた。それが気になったかどうか。木浪のカウントが1-1になった後、一塁へ送ったけん制球を中田翔がそらしてしまう。これを三走・島田が見逃さず、生還。難なく同点となった。

結局、木浪は三振に倒れたが9番・才木は7回を続投するために打席へ。しかし犠打が決められず、三振。それでも近本光司の2ランが飛び出し、勝ち越したのである。

この試合を終え、木浪の対戸郷の対戦打率は実に5割7分1厘(14打数8安打)。同じく4割4分4厘の近本を抑え、阪神打線でもっとも戸郷を打っている男になっている。

「たまたまですよ。本当に。そうとしか言いようがない。確かに(タイミングが)合う気はしてますけど。でもなんでですかね。理由なんてないですよ」

昨季までの対戸郷の通算打率は13打数3安打、2割3分1厘。「今年になってからですよね」と木浪が言うように一気に相性がよくなっている。それもレギュラーとして定着したからこそ。チームが苦手とする相手に強い8番打者がいるのは今後も心強い。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)

巨人対阪神 2回表阪神2死、木浪(後方)に中前打を許す戸郷(撮影・滝沢徹郎)
巨人対阪神 2回表阪神2死、木浪(後方)に中前打を許す戸郷(撮影・滝沢徹郎)