強烈に蒸し暑い甲子園、そこに虎党のため息も充満した。あと1本が出ない阪神打線。この日は7安打を放ち、広島を上回ったが肝心の適時打が出ない。広島の1点も内野ゴロの間に入ったのなので両軍、適時打なしの試合である。
そんなこの日の“サプライズ”というべきか「おっ」と思わせたのは森下翔太の1軍復帰、即3番スタメンだった。打撃不振で指揮官・岡田彰布も指導していたが、うまくいかずファームでやり直してきた。それが戻ってきて3番だ。
だが快打は出なかった。そうは甘くはない。しかし、思うのだ。森下の復帰にはやはり意味があると。なぜか。ズバリ言って、森下は「1発があるかも」と思わせる打者だからだ。
阪神は現在、あるワースト記録をつくりそうな勢いである。本塁打が出ないことだ。4日広島戦(マツダスタジアム)で大山悠輔が放って以来、この日まで12試合でアーチがかかっていない。記録部によれば、これは2リーグ分立後ではワースト3位タイという。
打線がガンガンつながれば一番いいが、現状、そういう雰囲気ではない。足を絡めて…という策もあるが、それもなかなかうまくいっていないようだ。そんなときに効果的なのは何か。言うまでもない、長打、そして本塁打だ。
12試合で本塁打がないと記したが、それは6日に登録抹消された森下がいない期間に重なっている。はっきり書くが阪神で本塁打が期待される打者は大山、佐藤輝明、そして森下だろう。好調時の近本光司も打つが本来、求められるのは塁に出て走ることだ。
野球の常識から言えば、長打を警戒する打者が減れば減るほど投手側は楽になる。阪神はクリーンアップを打てる打者が1人欠けていたのだから、迫力不足になる。その結果、相手も見下ろすし、本塁打が出なくなるのかもしれない。
もちろん、抹消時の森下に長打が出る感じはなかったのかもしれないが、とにかく戻ってきたのだ。この3人で相手投手にプレッシャーをかけていくことが、打線の閉塞(へいそく)感を打開する道だと思う。
「1軍来たら結果やからな。4の0でよかったですって、オレ、よう言わんで」-。森下について虎番記者から感想を聞かれた岡田はそう話した。これも当然。ぶちかます森下の復活から打線に火がつく状況が待たれる。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)




