指揮官・岡田彰布の「セプテンバー・スペシャル」か。7回に3番手で登板した桐敷拓馬が3者凡退で切ると8回も登板。矢野雅哉には安打を許したものの危なげなく3アウトを取り、2回を無失点で終えた。桐敷にとって今季初の2イニング登板だ。

「狙いもクソも勝ちにいっただけですよ」-。岡田はNHKアナの「桐敷、2イニングの狙いは?」という質問にそう答えた。なかなかに荒っぽい言い回しだが、これは本音だろう。勝負の9月、なのだ。

先発・高橋遥人が6回を投げ終えられれば、ひょっとして違う継投になっていたかもしれない。その他、いろいろな事情もあるのだろうが、いずれにせよ左打者の多い広島に対し、桐敷は有効。そこをしっかり起用したということだ。ここまで来れば勝ち負けだけ。何が何でも勝つという姿勢を感じたのである。

これで阪神は130試合を消化。試合数は年々、変わっており03年の優勝時は140試合制だった。「13、140試合ある、言うてもな。(優勝の行方は)100試合ぐらいで大体、決まっとるんや」。これは闘将・星野仙一のセリフだ。交流戦が導入され、試合数も増加。岡田第1次政権で優勝した05年は今より多い146試合制だった。

試合数が増えたからといって接戦になるわけではない。とにかく、こんなシーズンもめずらしいのだ。2位に浮上した阪神は首位・巨人に3ゲーム差となった。残り13試合でひっくり返せるかどうか。やっている方は大変だが見ている方にすればこんなに面白い9月もあまりないと思う。

これで9月は7勝3敗となった。7勝は6勝2敗のDeNAを抜き、最多。広島はここにきて一気に落ち込み、2勝9敗でセ・リーグのワーストだ。巨人は6勝4敗。この混戦の結末がどうなるか。それは誰にも分からない。それでも「9月最強」阪神の残り13試合は十分、見るに値するものになるずだ。

「この甲子園の3試合を、目の前の試合を1つずつ勝っていくだけ」。岡田はそう言った。日程はすでに変則になっている。3連戦はもうない。まずは14日、弱ってきた広島をたたく。それだけだ。「毎日、暑いのう。おかしいで。いつまで暑いんや」。11日、岡田は甲子園に照りつける日差しに対して、そうボヤいていたが、阪神もまだまだ熱いのである。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツコム/野球コラム(虎だ虎だ虎になれ!))

阪神対広島 7回、3番手で登板した桐敷(撮影・藤尾明華)
阪神対広島 7回、3番手で登板した桐敷(撮影・藤尾明華)