ヒーローは誰だ。そう言えば「何言うてんねん。近本に決まってるやろ」と言われそうだ。それは間違いない。延長11回、決勝2ラン。「勝ててよかった」。彼がそう漏らした言葉は、チーム、虎党すべてに共通する思いだろう。
とにかく、いろいろあった。神宮で何かが起こるのは虎党なら先刻承知だろうが、それにしても、である。いい方では近本以外に佐藤輝明の5号2ランなどか。そうでないのは岩崎優、まさかの2失点。木浪聖也の「ここで出るか」と言う適時失策もあった。
そんな試合を見ていて、地味だけど、これがあるなら阪神はそう簡単に落ちていかない…と思わせるものがあった。それはビハインド時に踏ん張るブルペン陣の姿だ。大きな記事にはならないだろうから、ここで書いておきたい。
「負けている展開で投げる中継ぎ投手がしっかり抑える。それが逆転への流れになることも多いし、とても大事なことだ」。これは広島3連覇監督・緒方孝市(日刊スポーツ評論家)が強調することだ。
ビハインド時に投げるリリーフの重要さ。それが出た試合だった。先発ビーズリーは不調で今季最短の4回で降板。その時点で1-3だ。阪神にすれば苦しい展開である。
だが、ここから登場したブルペン陣が流れを変えていく。まず左腕・門別啓人が5回裏から2番手で登板。13日の中日戦(甲子園)が雨で流れ、先発機会がなくなった門別が好投し、2イニングを無安打無失点に抑える。
7回にはゲラが復帰登板だ。序盤乱調で4日に登録抹消。ファーム調整し、15日に再合流してからの初登板だった。2死を取ったが2者連続で四球を出し、降板。すると次は今季1軍初登板となった岩貞祐太が登場。こわい長岡秀樹を打ち取り、危機をしのぐ。
まさにビハインド時に投げた3投手がヤクルト打線に1安打も許さず、失点もしなかった。すると8回、森下翔太、佐藤輝明の活躍で逆転に成功。流れが変わったのである。
勝ちパターンになった後で岩崎が打たれるのは皮肉としか言いようがないのだが、出る投手すべてがうまくいく、好投すると限らないのも、また事実。それは阪神もヤクルトも同じだった。だから継投は難しいし、当然ながら、打線との絡みも重要になるのだ。この勝利は大きい。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)




