CSを控えた阪神に暗雲が垂れ込めてきたのか-。そんな気もする出来事だ。降雨で試合開始が1時間以上も遅れたマツダスタジアム。それもイレギュラーな事態なのだが、それより先に虎番記者を驚かせていたのは佐藤輝明の「ベンチ外」だった。

念のために書けば、「ベンチ外」とはスタメンを外れるだけでなく最初から試合に出ないと確定する状況だ。佐藤輝にとって、これは今季初。現在、本塁打王のタイトルは確実にしているが、目標の40本塁打まで「あと2」と迫っている。虎党ならずとも「なぜ?」と気になるところだろう。

試合前の練習では通常通りの動きを見せていた。故障、アクシデントという感じでもない。佐藤輝自身も記者たちからのその種の質問にはすべて「どうでしょうね」と笑顔を浮かべ、はぐらかすだけだった。

理由について指揮官・藤川球児は試合後に「超人ではないということですね。体調調整だけで休ませることはないですから」と発言をした。これはいろいろな見方ができる。

ストレートに考えれば、やはり体調不良などの問題だろう。故障かもしれないが練習はしていたので、それほど重大な状況ではないと思う。優勝を決めた阪神、現在はCSファイナルへ向け、調整とも言える残り試合を送っている時期。主力選手の登録を抹消したり、欠場させたりの状況は続く。そんな中、万全でなければ無理をさせる必要はないのである。

この日の広島先発・床田寛樹との兼ね合いもあったかもしれない。床田とは今季6試合の対戦で13打数2安打、打率1割5分4厘と抑えられている。今季の佐藤輝は右投手相手に同2割7分5厘、左腕には2割8分3厘の成績。だが、そんな中でも当然ながら左右問わずに苦しんでいる投手はいるのだ。

大事な時期、苦手との対戦で打撃が崩れるのは避けたい…と考えてもおかしくはない。体調万全でなければ、なおさらだろう。実際、床田相手には8月12日、同じマツダスタジアムの試合で佐藤輝は欠場している。そのときは前日11日が雨天中止だったので休養が目的にしては少々、不思議な感じもしたものだ。

佐藤輝に限れば自分から対戦を避けると思わないけれどポストシーズンへ向けて入念な準備は続く。いずれにせよ、最悪な状況でないことを願いたい。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)