こんな時期が来るとは、という感じである。26日付の日刊スポーツに掲載された各評論家の順位予想はほとんどが阪神の優勝だ。そうでない方も「阪神連覇じゃ面白くない」(権藤博)などという理由である。阪神が優勝候補大本命なのは否定できない。
暗黒時代を持ち出すまでもなく過去にこんなシーズンがあったか、と思う。前監督・岡田彰布(オーナー付顧問)の下、日本一に輝いた23年の翌24年を前にしてもここまでのムードではなかったと感じる。闘将・星野仙一2年目で迎えた03年の前も期待が大きかったが、こんなに「阪神一色」ではなかった。
理由はある。阪神が投打とも戦力がそろうチーム状況になっていることに加え、巨人、ヤクルトなど主力が大リーグに抜け、戦力ダウンは否定できないチームもある。以前にも書いたが星野は03年に優勝できた要因として「ゴジラがいなくなったからや。そういう要素は大きいんやぞ」と話したこともある。02年限りで松井秀喜が巨人を去り、大リーグ移籍したことを大要素として上げたのだ。
どこまでいっても阪神、阪神という状況。言い方を変えれば「勝って当然」という見方をされているとも言える。これは戦う側にすればシビアなことだろう。2年目を迎える指揮官・藤川球児の心中もそう簡単ではないと思う。
「全然普通ですね。特に変わらない、日常と。普通ですね」。テレビカメラの前での会見が終わり、虎番キャップたちに囲まれた球児は平常心であることを淡々と説明した。そういう表現が、いまの心境に合っていたということだろうか。
就任以来、球児が言うことすべてに納得しているわけではないが、これだけはまさにそうだと思うことがある。それは「シーズン開幕がゴールではない。終わったときにいいチームになっていればいい」という考えだ。これは分かる。
ハッキリ言っていろいろあると思う。思わぬ故障はもちろんだが、主力の調子が上がらないケースもあるかもしれない。それでも、それをチームでカバーし、進んでいく期待がいまの阪神にはある。
マイナスなことが起こらなければ一番いいのだが、そういう期待も持てるチームになったのかもしれない。球団史上初のセ・リーグ連覇へ。「勝って当然」の重圧をはねのけるか。球児丸、2年目の船出だ。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)




