おやおや。近本光司までかいな。そう思ったのは7回だった。無死一塁から雨でぬかるんだグラウンドもなんの、強い二ゴロを放った。ボールは「4-6-3」と渡り、併殺の完成だ。これで今季、阪神打線が記録した併殺打は「13」になった。これはリーグ最多である。
チーム最多は大山悠輔の「3」で、これはリーグ最多タイ。大山だけでなく、この日に記録した近本から始まって中野拓夢、森下翔太、佐藤輝明と1番から5番までみんな記録している。この日は坂本誠志郎も併殺打を放った。レギュラークラスが軒並み、打っているのだ。
これでチーム状態が悪ければ「ゲッツー地獄」などと言われるところかもしれない。しかし、今、阪神の状態はいいのだ。これで開幕から4カード連続で勝ち越しを決めた。投打ともチーム状態は安定している。打率2割6厘はリーグ・トップ。49得点も同様。自慢の防御率は現在2位だが盗塁数はトップタイだ。
四球「39」も最多。犠打は広島に次いで2位だ。さらに言えば長年課題とされていた失策も「1」でリーグ最少とプラス面の数字を上げれば切りがないぐらいだ。マイナス的な数字というか物足りないのはリーグ最少タイの本塁打数数だが、そこに併殺打が多いのは少々、意外かもしれない。
コールドゲームとなり、首脳陣が足早にロッカーに消える中、ヘッドコーチの和田豊に聞いてみた。併殺打が妙に多いんですが…。和田は少し考えて口を開いた。「打球が芯を食ってるんじゃないの? いいように捉えていた方がいい。今のところはね」。慎重な言い回しでそう話した。
この考えは前監督の岡田彰布(オーナー付顧問)から聞いたこともある。岡田は阪神のファームで指揮を執っていた頃から「ゲッツー打ってこい!」と言って打者を送り出した。三振や凡打をおそれ、バットを当てにいく打撃より、併殺打になるぐらい強い打球を放てと強調したのだ。
確かに勝てていないときの阪神打線はいわゆるポップフライを打ち上げる場面が多かった気もする。それを思えば、各打者が鋭い打球を放つチームになったということか。もちろんチーム状態により、見方が変わるのはいつものことだが現状はゆったり見ている時期なのかもしれない。10日からは盗塁数トップで並ぶ中日との3連戦だ。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)




