「気合と根性」か。カープで売り出し中の名原典彦は面白い。無敵の高橋遥人が1回に失点したのも1番の彼が出塁こそできなかったものの8球を粘ったことと無関係でないと思う。
かつてカープ番だった経験から言わせてもらえば「気合と根性」のフレーズは広島球団そのものだとは思う。今のチームにそれがあるのかどうかは分からないが、とにかく、名原はいい感じだ。時代は変わっても表に出さなくても、プロで生きていく以上、必要なことだろう。
阪神にそんな選手はいないか。もちろん、みな内心にはそれを秘めているはず。ここで探したのは、それが名原のように前面にあふれ出ている存在。そういう視点でこの男はそうかも…と思うのは福島圭音だ。
表情も動きもいつも必死な感じがする。少し前には「サインの見落とし」などを理由にファーム行きを通告されたりもした。あまり選手個人についてどうこう言わない指揮官・藤川球児が「猪突(ちょとつ)猛進なので」と口にしていたが、そういう評価をすること自体がめずらしい。
その福島が、この日、光った。同点の7回1死から代打で出ると右前に鋭い当たりを放って出塁する。その打席での様子が面白い。マウンド上の岡本駿に、終始、鋭い視線を送るのがモニター画面に映っていた。「絶対仕留める」との気合を感じたのだ。
そこから打線がつながり、接戦の流れは一気に変わった。殊勲者は中野拓夢、森下翔太、そして佐藤輝明、さらに高橋からの投手陣と数多くいるが、ここでは代打安打の福島をそこに加えたいと思う。
特筆したいのは福島が代打で結果を出していることだ。通算打率が2割4分5厘なのに比べ、代打での打率は16打数6安打の3割7分5厘。1打席にかける集中力を持って試合に臨んでいるということだろう。
「自分のメンタルの弱さがあって…」。以前に盗塁を仕掛ける場面の話をしたとき、福島からそんな話を聞いたことがある。自身のメンタルの強弱を自分でどう感じるかは結構難しいと思うが、少なくとも「オレは強い」とは感じていないよう。だからこその必死さなのか、とも思う。
主力、主軸以外にしっかり働ける選手が1人でも多く出てきてほしい阪神。その意味で福島は成長してほしい存在の1人だ。(敬称略)






