神宮王者が打撃戦を制し古豪復活ののろしをあげる。第88回選抜高校野球大会(20日から12日間、甲子園)の抽選会が11日、大阪市内で行われた。昨秋の神宮大会を制し、20年ぶりに出場する高松商(香川)は、強力打線のいなべ総合学園(三重)との対戦が決まった。冬場に徹底的に振り込んだという「高商ナイン」が春3度目の頂点へ、真っ向勝負を挑む。

 最後の最後まで待たされて対戦相手が決まった。米麦(よねばく)圭造主将(3年)は、いなべ総合学園の印象を「1番から9番まで打てるし、強い、打のチーム」と口にした。秋の公式戦チーム打率3割3分7厘の対戦相手に警戒心を強めた。

 昨秋の神宮大会決勝で終盤の集中打で敦賀気比を逆転したように、高商も打力はトップクラスだ。長尾健司監督(45)も「冬場はかなり振り込ませた」と振り返る。さらに選手らは自主的に木製、ロングバットでティーを連日500球打ち込んだ。「神宮王者と呼ばれても、僕たちより強いチームはたくさんある。ただ、僕らも力があるんだという自信は持って臨みたい」と米麦はグイッと胸を張った。

 「長い、長いですよ」。長尾監督は大会第5日の日程には頭を悩ませる。長期遠征でのストレスコントロールと、体調管理の難しさを心配する。ただ、昨夏の新チーム初遠征では朝の集合時間に全員が寝坊していたチームは変わった。勝ち進んだ四国大会、神宮大会では最大10日間の長期滞在でも「選手間できっちり声を掛けあってしっかりしている面も出てきた」。遠征宿舎周りも自主的に清掃するなど、ナインの成長に手ごたえを感じている。

 春2度、夏2度の全国優勝を誇る古豪が20年ぶりの甲子園。第1回大会の覇者でもあり周囲の期待はひしひしと感じている。ただ、監督選手らにとっては初めての大舞台。対するいなべ総合の尾崎英也監督(57)は四日市工時代に春夏6度出場と経験豊富だ。それでも米麦は「確実に取れるアウトをしっかり取る。高商野球を見せたい」といい。長尾監督も「ユニホームに誇りを持って大会を駆け抜けて欲しい」と期待する。まずは1勝。もちろんその先にある60年以来、56年ぶりの全国優勝を目指す。【浜口学】