大分の甲子園初勝利はならなかった。投手陣が中京打線を抑えられず、2本塁打、16安打を許し、12失点。4回途中で降板した先発石本は「抑えようと思って、焦って力んでしまった。自分の力不足」と、唇をかみしめた。

 石本の父と兄は大分OB。父真実さん(41)は93年大分大会決勝で敗退。兄優矢さん(19)は14年に8番右翼で甲子園に出場したが、初戦で日本文理に敗退。石本は兄から「ピンチの時も笑顔で投げてこい。自分たちができなかった1勝をしてくれ」と勝利を託されていたが、思いは届かなかった。

 事故渋滞の影響で、球場到着が予定よりも1時間15分遅れるハプニングもあった。バス車内では、甲子園に初出場した14年のエース、オリックス佐野皓大(こうだい)投手(19)ら先輩からのメッセージビデオを見て、士気高くグラウンドに向かったが、力の差は歴然だった。

 松尾篤監督(43)は「完全に力負け。相手打線がすごかった」と脱帽。現メンバーの中で唯一、14年も控えでベンチ入りした佐藤は「野球のスピードが違った。もっとレベルアップして、甲子園で勝ってほしい」と、後輩たちに夢を託した。【福岡吉央】