センバツ高校野球に2年ぶり12度目出場の仙台育英(宮城)の背番号12、渡部夏史(3年)がスタメンマスクをかぶる。

 23日に福井工大福井との1回戦を控え、22日は兵庫・西宮市内で最終調整。ブルペンでエース左腕長谷川拓帆(3年)の投球を受け、シートノック、打撃練習などに汗を流した。正捕手で背番号2の尾崎拓海(3年)が左眼窩(がんか)底を骨折した影響もあり、7つの練習試合にすべてスタメンで起用された渡部の先発は確実。「尾崎の分までやる気持ちでいます」と、競い合ってきた仲間への思いを胸に秘めてグラウンドに立つ。

 年明けに、同じ左打ちのロッテ角中勝也(29)のノーステップ打法の動画を見て「いいなと思った」と試してみたところ、はまった。2ストライクと追い込まれてから、ノーステップにするといい「どんなボールにも対応できる」と手応えをつかんだ。

 163センチと小柄ながら、練習では両翼100メートル、中堅125メートルと広い、仙台育英グラウンドで本塁打を放った。開幕直前の17日の太成学院大高(大阪)との練習試合でも、右越えにアーチをかけた。

 佐々木順一朗監督(57)は「尾崎のけがでやらなきゃいけないという気持ち出た。楽しみになってきた」と期待する。打順は8番が予想され、好打者の1番西巻賢二主将(3年)へ、つなぐ役目もある。それでも渡部は「(甲子園に)立てない人もいるので」。ベンチメンバーから外れ、スタンドで応援する部員のためにも戦う。