サプライズ右腕がリベンジの切り札だ! 第100回全国高校野球選手権大会(8月5日開幕、甲子園)へ向けた各地方大会の組み合わせ抽選が21日、行われた。山梨は3年ぶりの出場を狙う東海大甲府が、大型右腕の小野寺瑞生(3年)にエースナンバーを託す。昨夏の決勝以来、公式戦登板は1度だけ。打者転向が有力視された男が最後の夏に挑む。

 大型右腕がリベンジのマウンドに帰ってきた。「背番号1は小野寺」。村中秀人監督(60)が抽選会当日にサプライズを明らかにした。昨夏決勝で敗れた山梨学院戦を最後に公式戦のマウンドから消えた。4月14日、春の県大会初戦(増穂商)に先発して6回1/3を投げて4安打7奪三振無失点も、その後の県大会、関東大会でも登板はなかった。

 「故障? アクシデント?」。ライバルが注視する中で左腕の渡部雄大(3年)、加藤匠(2年)ら多彩な投手陣が台頭して定着した。逆サイドにも適時打を放てる強打の一塁手が小野寺の定位置となっていた。

 夏への秘密兵器だった。「故障なしです(笑い)。冬場に股関節の柔軟性を上げて体幹を鍛え直した。微調整したフォームでストレートのアベレージもアップした」(村中監督)。夏を託された右腕は、まだ指揮官の決断を知らない。「春は内容が悪すぎた。いつでも行ける準備はしています」。黙々と140キロ台のストレートを投げ込む。

 川崎中央シニア時代から最速140キロ超と、横浜スタジアム中段に本塁打を打ち込むパワーでプロ注目の逸材だった。3年ぶりの頂点へ切り札が復活した。【大上悟】

 ◆小野寺瑞生(おのでら・みずき)2000年(平12)7月30日、山口県宇部市生まれ。東京都大田区で育ち、6歳からソフトボールを始める。小2から軟式野球、小5から少年野球、狭山西武ボーイズを経て、中2年から川崎中央シニアで投手。右投げ右打ち。183センチ、93キロ。家族は両親と兄、妹2人。