上達のコツは一流のマネをすること。高校野球100回大会の日刊スポーツ編成部長を務める前ロッテのサブロー氏(42)が30日、神宮で西東京大会決勝を視察した。日大鶴ケ丘・勝又温史投手(3年)の高い身体能力にドラフト上位候補の可能性を感じ取った。全国56代表校が出そろい、地方大会の戦いを総括する。

 勝又の投球フォームは、平野(ダイヤモンドバックス)によく似ている。テークバックの時に右腕が背中方向に大きく入る。平野と初めて対戦した時も、よくこのフォームでスピードが出るなと思ったが、勝又もそう。野球の教科書通りではないが、これで150キロ以上出るのだから、身体能力は相当高いのだろう。

 プロで活躍するためには、縦の変化球を磨いて欲しい。平野のように直球とフォークを軸に、スライダーはカウント球にできれば可能性は広がる。結果論で言いたくないが、カットボールを打たれたサヨナラの場面も、もっと直球で押して欲しかった。本人としては一番ストライクが取れて、三振も狙えるのだろうが、プロでも直球があっての変化球。せっかくの球威をもっと生かして欲しい。

 変化球は合う、合わないがあるが、平野のフォークをまねするのもいいだろう。私は現役時代、福浦さんと試合前に必ず自分の打撃映像とともに、毎日落合さんのビデオを見た。打撃練習で左前、中前、右前と打ち分ける技術を見て、マネをした。見て、イメージして、練習する。一流選手のマネは上達の近道になる。

 打撃では振る力があり、速いボールを投げる能力もある。私は投手より野手に魅力を感じる。左投手を打つのは苦手だろう。守備はどうか。細かい点を挙げればきりがないが、身体能力、体のバネは鍛えれば大化けする可能性を感じる。スカウトが見るのは、その「能力」の部分。上位で指名する球団が出るかもしれない。もし下位で指名できれば“おいしい”素材だ。

 この日で甲子園出場校が出そろった。すべてを見たわけではないが、高校生は投手より野手に好選手が多かった。私の中では大阪桐蔭・根尾が断トツ。身体能力の高さは無限大の可能性がある。藤原、報徳学園・小園、横浜・万波、高崎健康福祉大高崎の遊撃手、大越も巨人坂本勇の高校時代に負けない能力を感じた。

 投手は2年生に好素材が多かった。実際に見たかったのは大船渡・佐々木。映像で見る限り、直球はエンゼルス大谷と同じ「パワーのあるタレ型」(ゴロアウトを多く取るタイプ)だが、右打者の外角高めは「ポップ型」(伸びる球)になる異質なタイプ。「大谷×則本」のような大投手になる可能性を秘めている。