第100回全国高校野球選手権記念大会で初戦突破した金足農(秋田)が今日14日、大垣日大(岐阜)との2回戦に臨む。13日、兵庫・尼崎市内で行った最終調整で、最速150キロ右腕の吉田輝星(3年)がブルペンで約40球を投げ込んだ。11年前に初戦負けした相手を撃破し、23年ぶりの3回戦進出を狙う。

 「パシーン!」。吉田がブルペンで投げる度に、捕手のミットが突き上がる。初戦突破後の2日間はノースロー調整で、11日から投げ込みを再開。この日は直球と変化球を約20球ずつ投げ込んだ。大垣日大は11年前に初戦負けした因縁の相手。燃えない理由がない。

 吉田 11年前に負けた相手というのは知っている。先輩たちのためにも、優勝に近づくためにも、大きな一戦。この前は1点取られてしまったので、次の試合は完封して絶対に勝ちたい。

 完璧主義者だ。鹿児島実との初戦は9回9安打14奪三振1失点完投したが、「自分の納得した投球ではなかった」と猛反省。変化球の微妙な制球に苦しみ、直球主体の投球に終始した。この日は変化球の感触を再確認。「序盤からしっかり変化球を使えるように。(初戦は)スライダー、カットボールなしであんな投球ができた。そこが決まっていたら0点に抑えられた」。初戦で3本塁打をマークした強力大垣日大打線相手に緩急で揺さぶる。

 初戦の力投で、一躍全国区となった。テレビ朝日系の「熱闘甲子園」では「侍のイメージで、ぶった斬ってやりたい」と豪快に言い放ち、有言実行した。チーム内の流行語になるかと思いきや、吉田は「(言うのは)自分と大友(朝陽、3年)だけですね」と苦笑い。それでも因縁の相手に再び「ぶった斬ります」と決めぜりふを放った。「秋田の剛腕侍」吉田が、甲子園という名の戦場に立ち向かう。【高橋洋平】