「がばい旋風」の立役者が、公式戦監督デビューで白星を手にした。07年佐賀北の3番打者として、決勝で逆転満塁弾を放った副島浩史・唐津工監督(29)が21日、佐賀ブルースタジアムで行われた九州高校野球佐賀大会の1回戦で致遠館と対戦し、7-5で勝利した。昨年11月、副部長から監督に就任。一時務めた佐賀銀行を退職してまで夢にみた監督として高校野球の舞台に立った「がばい男」が、公式戦デビューを白星で飾った。

リードされても逆転。終盤に再び同点とされたが、8回に2点を勝ち越しての勝利だった。佐賀北時代の派手な逆転勝利というわけにはいかなかったが、粘りのある、選手一丸となった野球で勝利した。8回はスクイズ失敗の後に適時打が出て勝ち越したことに「勝ててホッとしました。選手に助けられました。1つ勝つことの難しさを思い知らされました」と少し白い歯を見せた。試合後は、観戦に訪れていた佐賀北時代の監督で恩師である百崎敏克・佐賀北副部長(62)からも「いい勉強になったな」と声をかけられ、苦笑いを浮かべていた。

高校教諭として昨年4月に副部長として唐津工に赴任。夏を経て11月から監督に就任した。指導歴約1年。「指導することの難しさを感じてます」。監督として目標としているのは「ベンチワーク」と「1人1人の役割理解」だ。ともに佐賀北時代に徹底的に教え込まれたことだ。

副島監督 自分がやってきたことが基本ですね。ベンチワークではみんなが声を出すことの大事さ。あとは自分の役割は何なのか、しっかり理解してもらうこと。まずはここから始めて、勝つことの喜びをどんどん教えていきたい。

8回にリードして直後の9回に2番手の「抑え」のマウンドに上がったのは、背番号2の池田光捕手(3年)。中学時代投手だった池田の素質を見抜いて、監督となってから投手も練習させている。池田も「ずっと投手もしたかった。うれしかった」とモチベーションを上げている。

副島監督 練習試合解禁最初の試合でセンバツに出場している大分に0-10で負けた。選手にはいい勉強になったと思う。春はできるだけ1つでも多く勝って夏につなげたい。

3番打者で主将の吉田薫平内野手(3年)は、副島監督の指導について「誰にもできない体験をしている監督。感謝と尊敬の気持ちを持って話を聞いている。自分で考えることの大事さも教えてもらってます」と言う。「がばい旋風」の申し子が、監督としての甲子園旋風を目指す道のりをスタートさせた。【浦田由紀夫】