第102回全国高校野球選手権(甲子園)中止に伴う県独自の代替大会が、東北各県で熱戦を繰り広げている。注目校や選手を紹介する「白球にかける夏2020」の第5回は、14日に開幕する青森編です。野球部は創部100年以上の古豪として、そして「文武両道」を掲げる弘前は、県屈指の進学校です。3年生たちは受験勉強にも励みながら、最後の夏に臨みます。

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弘前の3年生6人は代替大会で完全燃焼し、大学受験に切り替える。リードオフマンの小菅誠也外野手は理系の東大志望。「中学3年の時に、東大に行きたいと思った。東大からプロに行った宮台(康平)投手(25=現日本ハム)は、文武両道を極めた最高峰の方。かっこいいなと思いました」と憧れの存在だ。日課で毎日4時半に起床し、約1時間半の自主学習を行ってから登校する。

勉学と野球には通ずるものがある。1番打者として、打席の中で投手の思考を分析する。「野球と勉強も知識がないとダメ。投球練習中にタイプをしっかり見て考え、その情報をもとに、配球を予測したりします」と常に目を光らせ、情報収集し、結果につなげる。

主将の石岡憲信内野手は将来、同校野球部監督になるため、教育大進学を視野に入れる。平山智順監督(49)に影響を受けたもので、「監督には『自分で考えて野球をしろ』と言われたけど、2年生の時はあまり分からず、3年生になって理解できるようになった。自分たちは勉強もあるので、限られた中で考えて野球をすることは、すごく大事です」。同監督が唱える「考える野球」を実践し、勉強との両立に励んできた。

初戦(2回戦)は青森対弘前中央の勝者と対戦する。石岡主将は「目標は県のトップになること。今まで支えてくれた方々に、プレーで感謝の気持ちを伝えたい」。自粛期間中は勉強と自主トレはもちろん、家事も手伝った。母の支えがあって、野球ができることをあらためて実感。恩返しの夏でもある。【佐藤究】