元阪神投手の伊藤文隆氏(66)が新監督に就任した光泉カトリック(滋賀)が29日、滋賀・草津市の草津グリーンスタジアムで始動した。大雨と雷で一時中断はあったが、投打とも自ら手本を示して初日から精力的に動いた新指揮官は「(高校生は)スポンジの半分も吸ってないので急に伸びてくる子もいる。そこが面白い」と目を輝かせた。

古沢和樹前監督(35)は業務拡大のため退任。後を継いだ伊藤監督の方針は「全力プレー」だ。「理解して納得して練習する。頭ごなしにしかりつけることはしない。だけど、消極的なプレーについては厳しく言う。積極的なプレーは失敗しても学ぶことが多いので」と明かした。

選手には、グラウンド整備をどうすれば早く効率的にできるのかなど「考えること」を課した。プロで培った数々のトレーニング法を伝授し、選手自身が自分に合った方法を考え、選択できるようにもした。主将の清水大成投手(2年)は「毎日が吸収の日々。楽しい。見ているところが全然違う」。虎党の嶋谷登久彦理事長(72)は「自分に打ち勝つ自分を作っていくのが部活。野球で人間形成をする上で、うってつけの人材。阪神だからなおうれしい」と喜んだ。

85年に阪神で日本一に貢献。09年には社会人チーム「トータル阪神」の監督で全日本クラブ選手権を制した。プロとアマで2度日本一を経験しているものの、大同工(愛知)時代は聖地に立てなかった。光泉カトリックでは、02年夏以来の甲子園出場を目指す。伊藤監督は「高校の時は甲子園に出ていない。選手と一緒にこういうチャンスをもらえて感謝している」と顔をほころばせた。【南谷竜則】