小さな快腕はミスターゼロ!! プロ注目の最速141キロ左腕で、西脇工・東田健臣(とうだ・けんしん)投手(3年)が3試合連続完封勝利でチームを快勝に導いた。8回終了時だった。木谷忠弘監督(47)に「代わるか」と声を掛けられた。ここまで0封だ。エースの誇りがある。「自分が行きます!」。9回はフライアウト3つ。150球の熱投で仁王立ちした。

序盤は球が荒れたが、次第に低めに制する。過去2戦は13奪三振、15奪三振だったが、この日は違う。中盤はカットボールを多投して凡打の山を築いた。「今日は真っすぐが走っていて打者も真っすぐを張っていた。多少、変化球を増やして真っすぐに近い変化球で芯をずらせて。今日はゴロを、打たせて取る投球ですね」。7三振にとどまり、3試合連続2桁奪三振こそ逃したが、クレバーな投球で今大会は無傷の29イニング連続無失点に延ばした。

この日は最速140キロだった。身長174センチでも何度も速球で空振りを奪い、球速以上にキレがあるタイプだ。NPB3球団が視察。中日の山本将道アマスカウトチーフ補佐は「去年見たときよりテークバックが良くなっている。山本は小さいけど、あれだけの球を投げられるから身長は関係ない。まして左投手だから」と評する。17年の中日ドラフト6位で高卒入団した山本拓実は167センチだが150キロ超で昨季3勝した。

フォームが似る楽天松井を参考にする力投型で「点は取られると思いますが意識したらダメ。試合のリズムだけしっかり作りたい」と気合。夏の残り2戦を完全燃焼する。【酒井俊作】