日本高野連は10日、第94回選抜高校野球大会(22年3月18日開幕、甲子園)の21世紀枠候補9校を発表した。各都道府県が推薦した候補校のうち、全国9地区から1校ずつ選ばれた。

【一覧】センバツ21世紀枠落選…選出されなかった各都道府県の推薦校>

来春センバツの21世紀枠の候補校に選ばれ、滋賀・伊吹(いぶき)の部員たちは、伊吹山を背に笑みをこぼした。中川蒼河(そうが)主将(2年)は「まさかという感じ。うれしかった」と喜んだ。

積雪量世界一の記録を持つ伊吹山の麓とあって、冬はグラウンドが積雪で使用できない。校舎内では階段ダッシュや体幹トレーニングなどできるメニューは限られる。それを逆手に取り、下半身強化を兼ねた雪上サッカーや雪上ラグビーを実施。中川は昨年の練習試合解禁となった初戦で本塁打を放ち「下半身が強化されてるんだな」と実感している。

今秋の滋賀大会では準々決勝で近江に惜敗したが8強入り。エースの福井希空(のあ)投手(2年)が4試合で3完投。近江戦は完投サヨナラ負けし「スタミナが落ちて制球を乱した」。それでも、最速139キロで6つの変化球を操る右腕は「来年の夏に150キロを出すのが目標。この冬は基本的な体力とか柔軟性とか体幹とかから鍛えてやっていきたい」と来春の甲子園のマウンドを夢見て冬にレベルアップを図る。

07年から同校で指揮を執る野村勇雄監督(50)は「不細工なチーム。一生懸命やるのが本校のスタイル」と表現。「地域に愛される野球部であろう」とナインには地域でのあいさつ、声掛けを大切にするよう指導している。その結果として、地域の年配女性から学校にかかってきた1本の電話を挙げた。

「いつも野球部の子があいさつしてくれる。この時代も捨てたもんじゃない」

野村監督はそう伝えられたという。グラウンドのそばを通る中学生からも「続けていると最近では大きなあいさつが返ってくる」と目を細める。今回の候補校への推薦理由の中は、大会での成績以外にも、あいさつや清掃活動、除雪作業など地域貢献も評価されており「うれしい限り」と喜んだ。

甲子園に出場すればうれしいコラボも見られるかもしれない。同校の書道部は今秋の近畿大会で優勝。来春センバツの入場行進のプラカード数校分を担当する可能性もある。伊吹高校の生徒が書いた「伊吹」のプラカードを先頭に選手たちが行進できるかもしれない。野村監督も「そうなればいいですね」と青写真を描く。

喜びに包まれたナインだが、中川は吉報が届いた後のミーティングでは足元を見つめ直した。「決まったことはうれしいこと。次は滋賀県代表ではなくて、近畿の代表校になった。自分たちは改めて私生活をただそう」とナインに声を掛けた。1歩、聖地に近づいた日となった。【林亮佑】

◆伊吹 1983年(昭58)に創立の公立校。生徒数は423人(女子151人)。野球部は96年創部で部員数は29人(マネジャー3人)。これまでに甲子園出場はない。所在地は米原市朝日302番地。吉居増行校長。