北越の看板は“左腕クインテット”だ。タイプの違う5人の左腕投手がマウンドを支える。その中で急成長したのが一番小粒な165センチの中里優暉投手(3年)。横手から、下手からとフォームを変えながら打者をほんろう。持ち前のスクリューとカットボールで凡打の山を築く。自在な投球を駆使しながら中継ぎでチームに貢献する。

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中里の持ち球はバリエーションに富む。「全部がウイニングショット」という球種はスクリューボール、カットボール、スライダー、カーブ、チェンジアップと多彩。直球の最速は120キロ台前半だが、フォームの横手、下手と投げ分ける。「先発が試合を作った場合は、次の投手につなげるよう意識する。崩れていた場合は流れを持ってくる」。マウンドでの自身の役目も十分、心得ている。

「打者を崩すのはスピードではなく、コントロール」と中里はチームNO・1を自負する制球力で抑える。直球は全体の5~6割。テンポのいい投球を意識しながら時折、クイックモーションで投球し、リズムも変える。県大会優勝した昨秋は登録外。8強でとどまった今春、初めてメンバー入り。3回戦から準々決勝までの3試合、リリーフで計5回2/3を投げて3安打無失点で6三振を奪った。「夏も無失点を続けたい」。

高校入学時は156センチ、36キロだったが、現在は165センチ、50キロ。体が成長するにつれ、投手としても急成長。左腕投手陣は個性派ぞろいで、エース山倉大武投手は180センチの長身からの角度のあるボールが持ち味。中堅手が正位置の西潟晴斗投手(ともに3年)は上体をくの字に曲げながらスリークオーターで投げ込む。多彩な投手陣の一角に食い込んだ中里は1年時に上手からフォームを横手(下手)に変えた。「甲子園にまだ出ていない北越で、甲子園に初出場したい」。その思いに向かい左腕を自在に操る。【涌井幹雄】

◆中里優暉(なかざと・ひろき)2005年(平17)3月20日生まれ、新潟市出身。野球は紫竹山小2年から始め、宮浦中時代は少年硬式野球の新潟ヤングに所属。理想の投手はオリックスの左腕、宮城大弥投手。165センチ、50キロ。左投げ左打ち。