昨夏決勝の再現となった注目カードは、長野大会初の継続試合の末、長野日大が雪辱を果たした。連覇を目指した松商学園は1985年(昭60)以来となる初戦敗退となった。

長野日大の松橋将之監督(41)は試合直後、興奮冷めやらぬ表情で勝利をかみしめながら口を開いた。「長かったです。2日がかりですが、(ここまで)長い1日でした」。前日12日は5回終了時点で6-2と4点をリード。グラウンド整備直後に突然の雷雨に見舞われた。瞬く間に水たまりができ、大きな雷鳴がとどろき、継続試合へと状況は急転した。

松橋監督は、ここで大きな決断をした。「生徒を自宅に帰し、家族や友達から『よくやった』などと声をかけられたら、チャレンジャーとしての気持ちに隙がでるかもしれない。自宅に帰したくなかった」。急きょ、球場と学校の間にある松代町にホテルを取り、チームで宿泊した。

今までにない展開に選手は驚いたが、自然とホテルでは選手間の会話が増えた。2日で3安打2打点、初回に逆転タイムリーを放った中島龍之介内野手(1年)は「試合の反省点をみんなで話していました」。夕食はバイキング。「牛タンがおいしくて、あとは海老の塩焼きも」と顔をほころばせた。翌朝、中島は寝坊し、楽しみにしていた朝食は幻に終わったという。「バスの中でおにぎりを食べました」とこの話題の時だけ、反省しながら苦しそうに笑った。

継続試合再開後の6回裏の第4打席では、この試合3安打目となる左前打をマーク。「第1打席で空振りした時に打てるイメージができました。第2打席は栗原さんとの対戦でしたが、しっかり自分のタイミングで振ろうと思って必死で食らい付きました」。内野には1年生が3人。その1年トリオで3打点と、勝利への大きな力を生んだ。

昨夏決勝、松商学園に2-7で敗れた借りを返した。破顔一笑かと思われたが、松橋監督は必死な形相で大きな戦いを乗り切った思いを口にした。

松橋監督 こんなことがあるのかと思っていました。抽選会で「まさか松商学園さんと当たるとは…」と思いましたし、昨日の試合では勝負になっていると感じることもできた。それが継続試合になるなんて。難しいと感じました。ホテルに入っても、まだ試合は続いているんだと、眠れませんでした。緊張感も継続していたんだと思います。

12日は当初の予定から3時間遅れの午前11時57分にプレーボールがかかり、13日の午前10時53分にゲームセット。試合時間は3時間7分。しかし、約23時間もの長い時間、松橋監督は戦い続けた。その精神力に選手も必死で食らいつき、宿敵との初戦を勝ちきった。【井上真】