日大豊山(東東京)の水泳との“二刀流スラッガー”光永翔音(しょうおん)内野手(3年)が、最後の夏に完全燃焼する。初戦の2回戦、上野学園戦に「4番一塁」でスタメン出場。1安打1盗塁と存在感を発揮し、7-0の7回コールド勝ちに貢献した。8月は高校総体も行われるが、同校にとって00年夏以来の聖地を目指す。
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野球に懸ける、熱い夏が幕を開けた。光永は「素直に楽しい。高校野球で、すべてを出し切るつもりです」と爽やかに話した。
1点を先制した直後の初回無死一、二塁、「絶対につなぐ」という気持ちでバットを短く持ち、左前適時打で1点を追加した。夏の公式戦初出場で、球場は神宮。「何度も見に来たことのある球場。でっかいなぁと思った。そこでできたのはうれしかったです」。今春から4番に座り、福島直也監督(37)は「勢いをつけてくれる子。18歳らしく、彼らしく打席に立ってくれればいい」と明かした。
陸でも水中でも“速い”。100メートルは11秒9のタイムを持つ俊足。4回には公式戦では初の盗塁も決めた。「小学生の頃から、野球の好きなところは盗塁です」。野球はチームスポーツ。「自分のミスで負けたり、いいプレーで勝ったりする」のが魅力という。個人種目がメインの水泳では、昨年の高校総体で男子100メートルバタフライなど3冠を達成。2つの部活を高いレベルで両立しており「仲間がいっぱいできたのが、財産です」。
水泳は、高校総体の予選を兼ねた関東大会が21~23日に行われる。順調に勝ち進むと、21日はシード校の関東第一戦。そのため、同日の50メートル自由形は「水泳部には申し訳ないんですけど、棄権するつもりです」。22日の100メートルバタフライには出場する予定だ。
大学進学後は、水泳に専念する予定。五輪は「(24年パリの)その先を目指しています」と28年ロサンゼルスを意識する。やりきるため、今年は野球をメインに練習してきた。8月には高校総体もあるが「最後まで野球をやり抜きたい。甲子園に行けたらうれしいです」。ユニホームを着て白球を追いかける、長い長い夏にする。【保坂恭子】
◆光永翔音(みつなが・しょうおん)2005年(平17)6月28日生まれ、千葉県松戸市出身。水泳は0歳から始め、野球は小1から常盤平ボーイズで始める。小6で12球団ジュニアトーナメントのロッテジュニアに選出。京葉ボーイズを経て、野球と水泳の両方で強豪の日大豊山に進学。野球部では2年秋からベンチ入り。高校通算11本塁打。190センチ、85キロ。右投げ右打ち。
◆光永の水泳成績 高1時、21年の北信越総体で100メートルバタフライで2位(53秒27)。22年の四国総体は100メートルバタフライで優勝(53秒31)。男子4×100メートルリレーでは第1泳者を務め、3分22秒49の大会新記録で優勝した。さらに4×100メートルメドレーリレーでも優勝し、3冠を達成。今年の高校総体は北海道で開催予定。競泳は、江別市の野幌総合運動公園水泳プールで8月17~20日。日大豊山の水泳部は五輪に13人出場している強豪。東京都高校選手権55年連続63回総合優勝を誇る。
主な転向選手
【異種目から球界】
▼飯島秀雄 水戸農から目黒に転校後、早大-茨城県庁まで陸上選手だった。100メートル10秒1の日本記録保持者(当時)で、64年東京、68年メキシコの両五輪に出場。68年ドラフト9位で東京(現ロッテ)から外野手として指名を受け、プロでは代走専門。
▼日月(たちもり)哲史 関東高で陸上部に所属し、やり投げで87年国体6位入賞。投手として同年ドラフト外で西武の練習生に。4年後の91年ドラフトで同球団に8位指名された。1軍出場なし。
▼大嶋匠 群馬・新島学園ソフトボール部で高校総体、国体優勝。早大ソフトボール部から11年ドラフト7位で捕手として日本ハム入団。1軍通算18打数3安打。
▼和田康士朗 埼玉・小川高では陸上部で主に走り幅跳びの選手。野球はクラブチームで続けた。BC・富山を経て、17年育成ドラフト1位でロッテ入団。
【球界から異種目】
▼ジャイアント馬場(馬場正平)巨人に5年在籍し、投手として3試合登板(0勝1敗)。60年にプロレス転向。
▼尾崎将司(プロ野球時代の登録名は尾崎正司)徳島・海南のエースで64年センバツV。西鉄に入団し、通算0勝1敗。67年退団後、プロゴルファーに転向。
▼土師一男(はじ・かずお)佐賀工から投手で近鉄に入団し64、65年に在籍したが1軍登板なし。大相撲の井筒部屋に入門した。佐賀ノ海と土師のシコ名で十両を通算2場所。
▼木村昇吾 横浜、広島、西武で主に内野手としてプレー。17年に戦力外通告を受け、クリケットに転向。日本代表入りした。
▼石川雄洋 横浜で甲子園出場。20年にDeNA退団後、社会人アメリカンフットボールリーグXリーグのノジマ相模原ライズでプレー。
▼野田昇吾 鹿児島実で甲子園出場。西武投手を経てボートレーサーに。9日の戸田ボート最終日で待望の初勝利を挙げた。

