愛工大名電・伊東尚輝投手(3年)は129球の力投も実らなかった。

延長タイブレークに入った10回表に1点を勝ち越したが、その裏に押し出しで追いつかれ、相手4番の斎藤佑征(ゆうと)内野手(3年)にサヨナラ打を浴びた。「(10回に)2点取られて悔しくて悔しくて…」と涙をぬぐった。

アルプススタンドでは母沙織さん(53)が「頑張って、頑張って」と祈っていた。背番号1の大泉塁翔(るいが=3年)が左肩の張りで登板できず。最速149キロを誇る伊東の右腕に、前年度準優勝校との初戦は託された。味方打線の痛烈な打球が報徳学園の好守に阻まれ、なかなか得点を奪えない。投手にとっては厳しい試合展開で力を振り絞った。

同点の8回2死二、三塁のピンチで、伝令の大泉がマウンドに走ってきた。「俺の分まで頑張ってくれ」と声をかけられた。「いつも大泉に助けられていた。次の試合につなげたかった」という思いが、高校初完投につながった。

高校では自身最多の129球を投げ抜き「右打者ーにはスライダーで空振りが取れるんですけど、左打者だと空振りを取れる球が少ない。左打者に対しても空振りを取れる球を夏までに習得したい」と課題は明確。大泉らと競い合い、また夏に聖地へ戻ってくる。

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