5年ぶりの甲子園を狙う北照は、左足甲の疲労骨折で小樽地区大会を棒に振った福島秀陽(しゅうや)捕手(2年)が南大会から復帰。長嶋茂雄氏(88)と同じ中学を卒業した“ミスターの後輩”が、左右2人のエースをリードし、聖地を目指す。
福島のミットをたたくボールの感触は、準々決勝までが行われた円山球場と変わらなかった。エース右腕・田中太晟(たいせい)投手(3年)も、U-18日本代表候補の最速148キロ左腕・高橋幸佑(3年)の球からも、調子の良さを感じ取った。「『マウンドが堅い』ということは話していましたが、全然問題ないと思います。どういうボールを投げていくか相談して明日の試合に臨みます」と表情を引き締めた。
二塁送球タイム1秒9台の強肩と的確なリードで、1年生の昨秋から正捕手を務めてきた。暗転したのは今大会の小樽地区予選1週間前。左足の甲に痛みが走るとすぐ、靴がはけないほど腫れ上がった。診断は「疲労骨折」。負傷を理由に選手登録から外れた。
「南大会には連れていく」という3年生の言葉を信じてリハビリを続け、南北海道大会数日前に痛みが消えた。準々決勝は好リードで高橋を3-0の完封勝利に導いた。高橋は「普段はずっとくっついてきて、すごくかわいい後輩ですが、試合になると頼れるキャッチャー」と信頼を置く。上林弘樹監督(45)も「守備の面で安心感はあるはず」と評価する。
ミスターこと長嶋氏と同じ佐倉中出身だ。職員室前には現役時代の長嶋氏の写真が貼られ、3年間常に「意識してきた」という。小2の時には、自宅近くで行われた長嶋氏の野球教室に参加。「当時はピッチャーでしたので『もう少しひじを上げて投げた方がいい』とアドバイスされました」と、直接指導を受けたこともある。捕手出身の「上林監督の指導を受けたい」と北海道に渡った。「今は大丈夫ですが、最初は寒いし、雪道を歩くのも大変だった」という。
骨折中励まし続けてくれた高校の先輩、そして偉大な大先輩・長嶋氏への恩返しが、あと2勝に迫る甲子園だ。「佐倉からは長嶋さん以来、プロ野球のスター選手が出ていません。少しでも近づけるように、まずは甲子園に出て“北海道NO・1”のキャッチャーになります」と福島。未来のミスターはまず、エスコンの先の舞台を目指す。【中島洋尚】

