伝統の縦じまのユニホームが、15年ぶりに甲子園に帰ってくる。帝京が関東第一を8-4で破り、16年ぶり10回目の優勝を飾った。打線が3回に一挙8得点を奪うと、前日の準決勝に続く連投となった安藤丈二投手(2年)が「帝京魂」を支えに9回128球を投げ4失点完投で勝利に導いた。秋の東京の頂点に輝き、来春のセンバツ出場を確実にした。14日開幕の明治神宮大会では、東京代表として初戦で関東王者の山梨学院と激突する。

   ◇   ◇   ◇

「帽子を見ろ」。0-0の2回1死満塁。1発出れば大量失点につながるピンチの場面でタイムが掛かり、帝京ナインはマウンド上に集まった。安藤丈二投手(2年)は、池田大和主将(2年)から促され自分の帽子を見つめた。

つばの裏には今夏の東東京大会直前に金田優哉監督(40)が直筆した「魂」の1字が記されていた。OBたちがかねがね大事にしてきた「帝京魂」。力みなぎる筆致からパワーを受け取った安藤は「いったん落ち着いた」と感謝し、再開後は空振り三振と三直に仕留めて無失点。相手に傾きかけた流れを食い止めた。ピンチの後にはチャンスが来る。3回の攻撃では打者12人の猛攻で一挙8得点を奪い、大量援護をもらった安藤は9回4失点完投でリードを守り切り、秋季大会16年ぶり制覇に導いた。

前監督の前田三夫氏の下でその名をとどろかせ、春夏通じて3度の全国制覇を成し遂げた。ただ、近年は激戦区・東京の壁に阻まれ、全国の舞台に立てなかった。20年夏は東東京大会で優勝したが、コロナ禍の独自大会で甲子園大会には続かなかった。最後に甲子園の地を踏んだのは大谷翔平投手(現ドジャース)を擁する花巻東(岩手)と対戦した11年夏。あれから長い歳月を経て、伝統の縦じまのユニホームがついに聖地に戻る。

試合後に人知れず涙をこぼした金田監督は選手たちに抱きかかえられ、何度も宙を舞った。「OBたちがすごく頑張ってきましたから、間違いなく今日の勝利もその積み重ね」と目頭が熱くなった。晴れて東京の頂点に立ったが、ここがゴールではない。14日に開幕する明治神宮大会、出場を確実にした来春のセンバツー。伝統の「帝京魂」を胸に、“甲子園常連”の看板復活を期す。【平山連】

◆帝京 1943年(昭18)創立の私立校。生徒数947人(うち女子368人)。野球部は49年創部。甲子園は春14度(優勝1度、準優勝2度)、夏は12度(優勝2度)。主なOBにヤクルト清水昇、日本ハム松本剛、DeNA山崎康晃、元日本ハム杉谷拳士、とんねるずの石橋貴明ら。所在地は東京都板橋区稲荷台27の1。東海林啓造校長。

【高校野球】センバツ出場枠展望 関東・東京の「6校目」は浦和学院か、横浜か、関東第一か