新年を祝うかのように、菊池雄星投手(27)のマリナーズ入団が発表された。3日(日本時間4日)の記者会見での英語スピーチは、周囲を驚かせたことだろう。だが代理人を務めたスコット・ボラス氏の事務所関係者はかねて「彼の英語は素晴らしいよ。もちろん通訳は必要だけど、上達している」と菊池の英語力を絶賛していた。

同関係者は昨年12月下旬、菊池と瑠美夫人とともにロサンゼルス近郊で食事にも出かけたという。その時の印象を振り返り「すごくナイスガイだね。好きだよ」とニコニコ。忙しい年末だったが、菊池の話は止まらない。「マツザカはどちらかといえば、遠慮がちだったかな。菊池は積極的に質問するし、よく話すよ」。レッドソックスと大型契約を結んだ当時の松坂大輔投手(38=現中日)を懐かしみながらも、菊池の英語でのコミュニケーション能力に目を丸くした。

記者会見の映像を振り返ると、質問されたことに関してその場で、自然に対応している印象だった。私自身も、米国の大学院で英語のプレゼンテーションを毎月のように行った。恥ずかしながら、自分の話すパートを何度も練習し、ある程度話す内容を記憶して臨んだこともあった。そういう時に限って、本番では頭が真っ白に…。グループプレゼンテーション中に言葉に詰まり、数秒沈黙を起こしてしまった記憶がある。

それに比べ大勢のメディアを前に話すのは、相当な緊張感があったと容易に想像できる。しかも、今後アピールをしないといけないマ軍のサービス監督、ディポトGMを前にだ。米国では特に笑顔や、自信を持った雰囲気が大事とされる。言葉はシンプルでも、菊池は笑顔で、自信を持って話し続けていたように見えた。マウンドではないが、しっかりと練習の成果を出した菊池。シーズン開幕後も、夢だった舞台で躍動する姿を期待したい。【斎藤庸裕】