<ワールドシリーズ:ドジャース8-3レイズ>◇第1戦◇20日(日本時間21日)◇グローブライフフィールド

ワールドシリーズ(WS=7回戦制)第1戦は、ドジャースが走攻守でレイズを圧倒した。ムーキー・ベッツ外野手(28)が、WSで史上初となる1試合2盗塁2得点1本塁打をマーク。好走塁で打線を勢いづけ、チームを勝利に導いた。先発のエース左腕クレイトン・カーショー投手(32)は6回2安打1失点と好投し、ポストシーズン通算200三振をマーク。32年ぶりのワールドチャンピオンへ、投打で好発進した。

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ベッツの観察力が流れを変えた。1点差に詰め寄られた直後の5回1死二、三塁。三塁走者で相手の守備位置を確認した。「ジョーイ(レ軍の三塁手ウェンドル)が(ベースの)かなり近くにいた」。第1リードをとりにくいと感じ「第2リードをしっかりとらないといけない」と切り替えた。大きな第2リードから、4番マンシーの一塁ゴロで絶好のスタートを切り、ヘッドスライディングで生還。貴重な追加点をもぎ取り、力強く拳を握った。

ポストシーズンを含め、安定した高いパフォーマンスで存在感を示している。転機は4年前の16年。「MVP投票で2位になって、(好結果を)続けることは難しいと思った。自分自身に『継続できるようになろう』と言い聞かせた」。結果を継続して出し続けるためにどうするか。重視したのは「偉大な選手を観察して、スランプを少なく、いつも全ての面でいいプレーをする」。選手だけでなく、グラウンド全体を常に観察し、野球を学んできた。

5回の好走塁の直前には三盗に成功。初球、けん制で警戒されながら、レ軍の先発グラスノーの動きを把握し、4球目に好スタートを切った。この日、WS史上初の1試合2盗塁2得点1本塁打をマーク。ロバーツ監督からも「よく勉強している。ものすごい選手だ」と、あらためてたたえられた。

2月にレッドソックスからトレードで移籍し、開幕前に12年402億円の超大型契約を交わした。「僕のやるべきことはワールドシリーズを制覇すること」。まずは初戦、その“目”から勝利に導いた。