おれがいる! 中日平田良介外野手(26)が8回にうっぷんを晴らす2点適時二塁打を放った。キャンプから2軍生活が続いたが、13日の1軍合流後は全3試合でヒットと巻き返す。左翼レギュラーのベテラン和田一浩外野手(42)の開幕出場が危ぶまれる一方で、外野陣の一角が存在感を発揮した。

 平田らしい逆方向への打球が飛んだ。8回2死一、二塁。カウント0-1からオリックス平野佳の外角直球をうまくバットに乗せた。低い弾道の打球が右中間を破り2点適時二塁打。13日の1軍昇格後初めての“今季初長打”だった。「いいヒットでしたね」。試合後にそう感想を漏らしたのは谷繁兼任監督。指揮官がうなるほどのお見事な一打だ。

 オレンジのバットには不思議な力が宿っている。平田が打席に立てばファンが盛り上がる。この日も終盤まで一方的な展開だったが、4点差で迎えた8回に平田の2点タイムリーもあり1点差まで迫った。結局、試合がひっくり返ることはなかったが、ナゴヤドームのファンは背番号6のフルスイングに特別な期待をかける。

 絶対的な存在であるベテラン和田が調整不足から開幕に間に合わない可能性が高い。そんなチーム状況も、平田自身は気にしている余裕はない。キャンプから2軍生活が続き13日にようやく1軍合流したばかり。「自分としてはチームの勝ちにつなげられるように1球、1球、大事にやっていく」。昨季の開幕4番はまるでルーキーのような口ぶりだ。

 試合前にはハッとさせられるひと言があった。昨秋と今春のキャンプで特別コーチを務めた土井正博氏(71=野球評論家)がナゴヤドームを訪れていた。数々の右の強打者を育てた名伯楽から久しぶりに指導を受けた。土井氏は「基本を大事にしようという話をしている。投手に胸を見せないように、いかに辛抱するかが大事」と説明。体の「開き」を無くすように指摘された。

 スマイルが特徴の平田だが、ここ最近は真剣な表情でフォア・ザ・チームを繰り返す。「全身全力でやっていくだけ。まだあと5試合あるので、集中して1試合、1試合に臨みたい」。和田不在の中で、長打を期待できる打者はそう多くはない。試合の流れを変える。平田のバットにはそんな魅力が確かにある。【桝井聡】