緒方カープが7連敗の泥沼から脱出した。前日、延長11回に失策で勝ち越し点を許した田中広輔内野手(25)が発奮。2回に逆転二塁打を放ち、5回にも出塁して決勝のホームを踏んだ。連敗中は失敗に次ぐ失敗だった継投で1点差を守り、10日ぶりの白星をつかんだ。

 夜空から落ちてくる白球を大事そうにつかむと、遊撃田中は勝利を確信して両手をたたいた。薄氷を踏むような勝利で、ようやく連敗が止まった。歓喜の輪の中で、チーム全得点に絡んだ田中の言葉は広島ナインの思いを代弁した。「何が何でも勝ちたかった。疲れました。本当に勝てて良かった」。10日ぶりの勝利をかみしめた。

 この日も接戦となった。2回を除く全イニングで走者を背負う苦しい展開。9回も、抑えのヒースが2死満塁まで攻め込まれた。一打同点、逆転の場面。最後まで冷や冷やさせられながら、3月29日以来となるチーム3勝目を全員で勝ち取った。

 田中は開幕から続く打撃不振にも「僕には守備がありますから」と言い続けてきた。しかし、前夜は守りのミスが敗戦につながった。責任を背負った7連敗から一夜明け、緒方監督に呼ばれた。守備ではなく打撃のことだった。前夜は4打数無安打で、試合前打率は1割5分2厘だった。指揮官から「どんどん振っていけ」と背中を押され、この日の2安打はいずれも早いカウントで仕留めた。

 まずは1点を追う2回だ。2死一、二塁からマイコラスの初球真っすぐに反応した。打球は中堅松本哲の手前で弾み、2人の走者を本塁に迎え入れた。さらに同点に追い付かれた直後の5回裏には、先頭として右翼前打で出塁。三塁まで進むと、暴投で勝ち越しのホームを踏んだ。

 試合の中で2度勝ち越したのは今季初。ナインの反発力を緒方監督はたたえた。「前日、広輔(田中)はチャンスで打てなくて悔しい思いをした。その借りを返してくれた」。長いトンネルを越え、ようやくつかんだ4月初勝利。連敗は止めたが、まだ7連敗の借りは返せていない。ここから本当の反発力が試される。【前原淳】

 ◆広島田中の失策VTR 4月7日巨人戦。延長11回1死二塁から鈴木の三遊間のゴロを遊撃田中が飛びついて止めた。しかし、三塁への送球がそれて、走者が生還。決勝点となった。田中は「あそこで投げない方が後悔していたと思う」と言い、石井コーチも「紙一重のプレー。投げるなとは言えない」とかばった。