新人の一振りが、勝利に導いた。ロッテのドラフト1位ルーキー中村奨吾内野手(22)が1回、西武ルブランからプロ1号となる先頭打者本塁打を放った。プロ初の1番スタメンに起用した伊東勤監督(52)の抜てきに応えた。前日に今季初の0封負けを喫した打線に勢いを与え、2回までに3点を奪い逃げ切りに成功。4月最後の試合をものにし、6カードぶりに勝ち越した。

 中村は「ライトフライだな」と思ったが、手を抜かずに走った。西武の右翼斉藤の足が止まっているのが見えたからだ。すると、1歩、2歩と後ろに下がるのが見えた。「もしかしたら」と思った直後、ボールが右翼ポール際に飛び込んだ。速度を緩めず、あっという間にダイヤモンドを1周。「うれしかったです」と、はにかみながら言った。

 抜てきに応えた。前日、チームは25試合目で今季初の0封負け。開幕当初はつながっていた打線がつながらない。5位低迷の原因にカツをいれるべく、伊東監督は今江、井口の主力を外した。代わって、三塁に中村、一塁に大嶺翔。若い2人を送り出した。「奨吾は今のチームに足りないもの、積極的に結果を恐れずに振る姿勢を持っている」のが先頭に据えた理由だ。

 第1打席。中村は、初球高めのボール気味を思い切り振った。空振りしたが、監督の見立て通り結果を恐れなかった。4球目。カウント2-1で仕留めた。控えで打席数は限られる。練習から強く振る意識を保ってきた成果が出た。

 昨秋ドラフト1位で入団。通常なら、もっとも注目される新人のはず。だが、同2位に田中がいる。初めて京大からプロ入りした右腕の方が注目されてきた。そんな状況にも「何とも思いません。自分は結果を出していくだけ」。だから、開幕1軍を決めても「内容がよくない。凡打の過程がダメです」とオープン戦の反省を口にした。その田中が前日、初先発。「お互い頑張ろう」と誓い合った。

 ロッテの新人が先頭打者本塁打を放つのは、86年古川以来29年ぶり。新人に限らずプロ1号が先頭打者本塁打は、球団では毎日時代の54年橋本力以来だ。半世紀以上ぶりの1発にも、本人は「たまたまです」。それよりも第2打席からの3三振を悔いた。「見極めができていない」。ファンの好意で戻った白球を手に、反省で締めた。【古川真弥】

 ▼ルーキー中村が初回先頭打者本塁打。プロ初本塁打が先頭打者本塁打は14年9月25日鈴木誠也(広島)以来で、外国人選手を除きプロ野球29人目。ロッテでは53年栗木孝幸、54年橋本力に次いで61年ぶり3人目。新人でプロ1号が初回先頭打者アーチは珍しく、98年坪井智哉(阪神)以来2リーグ制後6人目。