中日吉見一起投手(30)がヤクルト小川との「秋田決戦」を制した。今季初の屋外球場のマウンドでもいつもの落ち着いた投球は変わらず6回1失点。今季6戦負けなしの無敵ライアンに土を付けて自身3勝目を挙げた。規定投球回には達していないが、防御率0・55と安定感は抜群。エースの力投でチームは2週間ぶりに3位に浮上した。

 吉見がチームに漂う沈滞ムードを吹き飛ばした。試合終了後。少し肌寒くなった秋田の空にヒーローのインタビューが響いた。

 「常に攻める気持ちを持っていけた。苦しいなかでも楽しく、気持ちよく投げることが出来ました」

 初回からエンジン全開。山田、上田を連続三振に斬って試合をスタートさせた。3回以外は走者を出したが、本塁を踏ませたのは5回川端の右前適時打による1点だけ。今季最多の109球を投げた。友利投手コーチも「連敗を止めたい。雰囲気を変えたいという気持ちが出ていた。ああいうのがエースと言われるところ」と絶賛。チームは救援陣が崩れて前カードの阪神戦で2連敗。悪い流れを変える。エースの仕事だ。

 相手が一流投手であればそれだけ気持ちが燃え上がる。「彼が投げる試合はチームが負けてないという情報を聞いたので、それを倒してやろうという気持ちで投げました」。相手投手は今季6戦無敗のヤクルト小川。絶対に先にはマウンドから降りたくなかった。吉見の気迫が野手にも伝わったのか、攻撃陣も奮起。3回4得点を奪い相手右腕を引きずり降ろした。

 今季5試合を投げて防御率は0・55。まだ規定投球回に4イニング少ない33回だが、1位の広島ジョンソンの0・71よりも低い“隠れトップ”だ。「まだ始まったばかり。それに今年は数字にはこだわっていない。とにかくチームが勝てるようにというのがテーマ」。一昨年の右肘手術を経て地道なリハビリを経験。酸いも甘いも知り尽くした背番号19はやっぱり頼れる。【桝井聡】