気迫で押し切った。1点リードの9回表。2死二塁と一打同点のピンチで、楽天則本昂大投手(24)は鬼の形相になった。「あそこで追いつかれたり逆転されれば、僕もそれまでということ。自分を追い詰めてマウンドに上がりました」。この日137球目でも気力がみなぎっていた。136キロのフォークでロッテ鈴木を空振り三振。今季初の完投勝利を挙げ、ようやく表情を緩めた。
エースの意地だった。ベンチは最終回に守護神松井裕の投入も見越していたが、則本の方から高村投手コーチに続投を志願した。「最後まで行くしかないと思って、自分から言いました」。4月18日の今季初勝利を最後に、約1カ月間勝利から見放されていた。内容は悪くないのに結果が伴わない。先発の柱として貢献できない自分が歯がゆかった。「中継ぎがずっと頑張っていたので、今日は最後まで1人で行きたかった」。エースの自覚が体を突き動かした。
大久保監督は、その姿に頼もしさを覚える。「絶対に抑えるという顔をしていたので心中を決めたよ。3年安定した成績を残して初めて本当のエース。試練をよく乗り越えた」。1年目に15勝、2年目に14勝も今季は黒星先行と苦しんだが、自身2勝目でチームを4位に押し上げた。この1勝を浮上のきっかけにする。【松本岳志】



