タフネス左腕がサヨナラ勝ちを引き寄せた。楽天松井裕樹投手(19)が「日本生命セ・パ交流戦」の巨人3回戦で、同点の9、10回を無失点に抑える力投。中川大志内野手(24)のサヨナラ本塁打につなげ、今季初勝利をマークした。チームにとっても、巨人戦では9年ぶりのカード勝ち越しをもたらした。今季早くも8度目となるイニングまたぎをものともせず、若き守護神が浮上への勢いをつける。

 雄たけびを上げることなく、松井裕は悠然とマウンドを降りた。延長10回2死一塁。橋本を空振り三振に仕留め、その裏の中川のサヨナラ本塁打に歓喜した。今季初勝利を手にし、笑顔を見せながらも「(勝ち星は)ないよりあった方がいいですけど、先発投手についた方がいいです」と淡々と振り返った。

 守護神としての自覚だった。同じく延長戦にもつれ込んで敗れた前夜は、3連投中の疲労を考慮され出番なし。先発則本の後を受け、満を持して9回のマウンドに上がった。「チームとしても、エースが投げるからには負けられない。今日は負けられない試合だった」。強い決意を全38球に込めた。

 ここまで21試合に登板し、27イニングで奪三振は35。三振なしは1試合しかない。「三振は特に意識していない。3者凡退が一番いいです」と話すが、奪三振率の高さは、攻撃へリズムを作る。松井裕が昨年、2軍落ちした時から見続けている高村投手コーチは言う。「さあ攻撃だ、という時に、投手は何が出来るか。それは直前の投球でリズムを作ること。三振を奪える松井はそれができる」。その言葉通り、9回は「めっちゃ、うれしかった。ずっとファンだったので」という高橋由、そして延長10回とイニング最後の打者から三振を奪取。サヨナラ劇への序章としてみせた。

 抑えながら、回またぎでの登板は8回目。ミコライオ、クルーズの両助っ人を開幕から欠いたこともあっての起用だが、その裏には大久保監督の信頼と期待もある。「タフだし、何より投げたがりなのを、(去年)ファームでも見てるから。今日も『松井なら抑える』。そのひと言だけを思っていた」。勝つために、左腕の力にかけている。

 その決断にウイニングボールで応えるのが、松井裕の役目。初セーブで、チームの今季1勝目を締めた3月28日(日本ハム戦)は大久保監督に手渡した。「2年目の19歳に最後を任せていただけるということに責任を感じている」。これからも豪快に、思い切り、勝利を決める1球を投げ込んでいく。【佐竹実】

 ▼松井裕が今季初勝利(通算5勝目)。交流戦では初勝利となった。回またぎ起用は12球団の抑え投手で最多となる今季8度目で、5月は7度もあった。回またぎの8度はすべて無失点。抜群のスタミナ、集中力を見せている。今季の1失点は荻野(ロッテ)の本塁打によるもので、被安打13本のうち12本は単打。