日本ハム大谷翔平投手(20)が難敵を攻略した。「日本生命セ・パ交流戦」巨人2回戦に「5番DH」で2試合連続スタメン出場。2回に昨季のセ・リーグMVP菅野から8打席ぶりの安打となる左中間二塁打を放ち、近藤健介捕手(21)の先制2号2ランをお膳立てした。6回にも右前打でマルチ安打をマーク。昨年リーグ覇者からの連勝を呼び込んだ。チームの貯金は今季最多タイの12。ゲーム差なしの2位と首位ソフトバンクに肉薄した。
緩めた足を、再びフル回転させた。2回1死。巨人菅野の145キロ直球を中堅左にはじき返した大谷は、一塁を回り、巨人野手陣の隙を見つけた。立岡が山なり返球するのを見て、再加速。一気に二塁を陥れた。「送球間で。普通に。そういう走塁なので」。多くは語らないが、単打を二塁打にする好プレー。続く近藤の決勝2ランをお膳立てした。近藤も「思った以上に飛んでくれた。翔平がいい走塁をしてくれました」と褒めた。菅野攻略の突破口は、大谷の非凡な野球センスだった。
対戦は幻だったかもしれない。大谷がドラフト1位で入団するちょうど1年前。日本ハムから同1位で指名されたのが菅野だった。だが入団を拒否。チームメートではなく、対戦相手として、この日公式戦で初めて顔を合わせた。人生が交錯したのは、近藤も同じ。菅野の入団交渉が難航していたころ、同4位で契約したのが近藤。「幻の同期バッテリー」だ。当時球団社長として、抽選のくじを引いた津田アドバイザーは「こういうところで投げるというのは、いい投手に成長しているということ。こっちも指名が間違っていなかったことを証明している」。数奇な縁に感慨を深めた。
大谷は6回にも右前打を放ち、5月19日楽天戦以来、今季4度目の複数安打。試合前には早出で打撃練習を行い、必死に復調の兆しを探した。「左中間に飛んだのはよかった。四球も取れたし、(ボールを)見られているのはいい傾向かなと思います」。今月上旬の広島遠征では、中田に食事に誘われた。杉谷、谷口らも同席。登録は投手で、調整も投手がメーンだが、野手の仲間にもしっかりと認められている。この日グラウンドでも、野手大谷の存在感は光っていた。
巨人戦2年ぶりの連勝で、貯金は今季最多タイの12に増えた。菅野の強行指名に踏み切った11年オフ、誕生したのが栗山新監督。指揮官は「すごくいい投手。全然打たせてもらえない」と「幻のチームメート」をたたえながら、「みんなが一丸となってやれて良かった。(大谷は)投手のときと全然違う。野手として切り替えてやってくれた」。運命的な一戦は“充実の現在”を示してくれた。【本間翼】
◆11年ドラフト会議 東海大のエースとして注目されていた菅野に対し、伯父の原監督のいる巨人の単独指名が確実視されていたが、日本ハムも1位指名。抽選の結果、日本ハムが交渉権を獲得したが、最終的に入団を拒否された。同年のドラフトでは4位で近藤、6位で上沢らが入団。



