緩急差70キロで魅了した。日本ハム大谷翔平投手(21)が、「マツダオールスターゲーム2015」の第1戦で全パの先発を務め、2回2安打1失点2奪三振だった。2回、DeNAロペスに先制の適時打を浴び、最速は159キロ。昨年の日本選手最速162キロには届かなかったが、この日最遅89キロのスローカーブなど変化球を織り交ぜ、3年連続の球宴は「投球術」で場内を沸かせた。

 悔しさを隠すように、マウンドの大谷は笑みをたたえていた。筒香に左翼フェンス直撃の二塁打を浴びて迎えた、2回1死三塁のピンチ。同じDeNAのロペスに先制中前打を許した。球宴では2年連続の失点。「もっとフルスイングしてくるかと思ったんですが、意外と軽打してきて…打たれちゃいました」。2回2安打1失点。それでもファン投票1位選出の大役を果たし、「いい緊張感がありました」と、すがすがしく振り返った。

 2回2死、最後の打者・川端に対して、「1球だけ(スピードを)狙った」速球は159キロ止まり。大台突破は実現しなかったが、今年も球速に見どころを用意していた。1回、山田への2球目だ。内角高めへのボール球は、シーズン中には使わない超スローカーブ。「練習もしてないですね」という“魔球”を夢舞台で解禁した。場内のスピードガンが作動しないほどの遅球は、テレビ中継で89キロと表示された。直球との球速差は実に70キロ。「(捕手の)嶋さんが粘って(サインを)出してたので」。先輩のリードにも後押しされ、2回にも94キロの同じボールを投じ、川端を三直に打ち取った。162キロを出した昨季球宴から1年。日本人最速右腕が、今度は最遅球で魅せた。

 やはり“1番人気”だった。ファンだけではない、ロッカー室やグラウンドでは、チームメートとなるパ・リーグの選手たちから次々と声をかけられた。ロッテ・クルーズからは、グラウンド上でツーショットをせがまれ、写真におさまった。「一流の選手が集まる。雰囲気や人柄は人それぞれ、勉強になります」と話したが、スター軍団の中心にいたのは、大谷だった。

 降板後は一塁コーチスボックスにも立ち、藤浪対森の「天井弾」を間近で見た。「すごく楽しかったです。変な力みがなく、普通に臨めてよかったです」。スタンドを沸かせ、自身も堪能した、3度目の球宴だった。【本間翼】

<大谷の球宴VTR>

 ◆13年 全3試合に出場し、札幌ドームで行われた第1戦は全パの3番手で登板。打者5人に2安打、1奪三振、無失点で最速は中村(DeNA)の2球目に記録した157キロだった。第2戦では高卒新人で史上初の1番打者に起用され、第3戦では適時安打を放ち86年清原以来2人目となる高卒新人の打点をマークした。

 ◆14年 第2戦に先発した。初回先頭打者の鳥谷への初球でいきなり161キロを記録して自己最速を更新。2球目に162キロを計測し、由規(ヤクルト)が10年に出した161キロを上回る日本選手最速をマークした。5番阿部への初球でも162キロを出した。1回23球を投げ、3安打1失点。21球の直球はすべて157キロ以上だった。