勝利に大きく近づくアーチにもクールにダイヤモンドを1周した。高々と舞った阪神マット・マートン外野手(33)の打球は左翼スタンドに着弾。腕を折りたたみ放った「技あり」の一撃だ。
「真っすぐの意識もあったけど、ボールが投手の手から離れた時にチェンジアップと分かったんだ。うまく反応して打てたかな」
1点をリードする4回2死。フルカウントからの7球目を振り抜いた。モスコーソの内角高めに抜けたチェンジアップをとらえた。8号ソロ。「甲子園以上の球場はないけど、ここは風の影響がないからしっかりたたけばボールが飛ぶ。それがいい結果につながっているよ」。京セラドーム大阪で38打数15安打の打率3割9分5厘。今季はもうここで試合が行われないのがなんとも悲しい。
12日中日戦。この日と同じように先発はメッセンジャーだった。1-1の同点の7回。マートンは初球に驚きのセーフティーバントを試みた。ファウルとなったが「メッセンジャーが投げる試合はいつも点が取れずに勝ててないだろ。だから先頭だったし何とかしてでも塁に出ようと思ったんだ」と翌日に真相を語った。右腕は6回1失点と好投も勝利投手の権利なく降板していた。責任感が駆り立てた行動だった。
それだけにこの日の1発は格別だ。「最近援護出来ていなかったランディへの援護点になった。打てて良かったね」。シーズン序盤は不振に苦しんだが、打率もいつの間にか2割9分5厘まで上昇した。猛虎が誇る希代のヒットメーカー。ここからさらにHランプの点滅速度を加速させる。【梶本長之】
▼マートンは今季、京セラドーム大阪で打率3割9分5厘(38打数15安打)と好調。今季10試合以上出場した球場別では最高だ。10年の来日以降、同球場では3割4分9厘。通算打率3割1分4厘を上回る。なおマートンの京セラドーム大阪での本塁打は、10年8月13、15日ヤクルト戦、13年8月15日広島戦に続き4本目。いずれも長期ロード期間中の阪神主催試合で放っている。



