たった「2球」で、すべてが崩れ落ちた。首位攻防第2ラウンド。悲劇は1点リードの8回だった。阪神先発ランディ・メッセンジャー投手(34)がヤクルト川端に同点打を浴び、続けざまに山田に勝ち越し打を許した。いずれも初球を痛打され、「2球」で試合をひっくり返された。ヤクルトの自力Vの可能性を消せず、自力Vが残る4チームの中で「1人負け」。2位ヤクルト、3位巨人とは再び2ゲーム差。4位広島まで4・5ゲーム差と虎が抜け出せない。

 たった2球で白星がスルリと逃げていった。奮闘していたメッセンジャーがあっけなく奈落の底へ突き落とされた。右中間に抜けていく白球を見届けながら、立ち尽くすだけ。ベースカバーにも入らず、ショックを隠せない。「7回まで調子がいいと思わなかったけど、8回は失投。それが悔しい…」。1点リードの8回に悪夢の逆転KOされ、ベンチに腰掛けると、うつむいたまま、うなだれた。

 勝利まで、あとアウト5つだった。8回1死二塁。首位打者の2番川端と向き合い、初球が甘く浮いてしまった。直球を容赦なくとらえられるとジャンプする中堅大和の頭上を越える。あっけなく同点に追いつかれた。川端を二塁に置いて次は山田と対戦。また1球目だ。真ん中に飛び込んだ球を痛打され、右中間を破られた。山田は二塁を蹴って三塁へ。和田監督も苦虫をかみつぶすしかない。

 「7回までの球数や内容も良かったから行かせたけど、ピンチになって入り球が高かったな。そこまで良かっただけに(継投の判断は)難しいところだけど」

 序盤は不安定だった。球を交換する際にボールボーイに強く投げ返したり、素手で球を受け取るしぐさを見せた。いら立ちながらも冷静さを取り戻し、制球抜群のカーブを生かしながら7回1失点に抑えていた。8回を迎えるまで球数は99球。リードは1点。上位打線に回る8回のディフェンスを前に、和田監督は信頼して送り出したが裏目に出た。勝ちパターンの福原を投入しても歯止めは利かず、一挙5失点。予想外の形で勝負の行方は決した。

 逃げ切っていれば、2位ヤクルトの自力Vの可能性を消し、カード勝ち越しを決めるところだった。勝利を逃し、ライバルにトドメを刺せない。前日28日、甲子園での仕切り直しは走攻守ともにベストゲーム。この日は一転して、首位固めする思惑は崩れ、相変わらず混セから抜け出せない。和田監督は言う。「ランディのとき、なかなか点を取れない。キツイけど、今日はあの1点で逃げ切らないといけない試合だった」。メッセンジャーは自己ワーストタイの11敗目。優勝に向かうチャレンジは一筋縄でいかない。【酒井俊作】

 ▼阪神のマジック点灯は最短で9月3日に伸びた。条件は今日30日から<1>阪神4連勝<2>広島4連敗(阪神と広島は9月1~3日に直接対決)<3>巨人が1勝1敗1分け以下の場合、マジック17または18となる。