投げキッスで決めた。日本ハム・ルイス・メンドーサ投手(31)が、特別な1日を彩った。今季初、の完投勝利を来日初の無四球で飾った。今季最多121球で使命を終え、スタンドへラスト1投。右腕を口元へ寄せ、振った。標的はスタンド。メキシコから駆けつけた、同い年67歳の父アルフレッドさんと母ロシオさんら家族へ。飛行機嫌いの母は、初来日だった。「11時間かけて日本に来て疲れているし、機嫌も悪いだろうから良かったよ」。号泣のハグで異国へでの挑戦を見送ってくれた最愛の母へ、記念星を贈った。
来日2年目で9勝目。最低限の1つのノルマに課した節目、2桁勝利へ王手をかけた。メジャー通算16勝の実績で期待された昨季。は7勝。リーグワースト13敗を喫した。重要な一戦を多く任されながら、背信の結果。陽気なルックスとは対極な、秘めた強い忠誠心が原動力になってきた。
「こんなに落ち込んでいる監督を今まで、見たことがなかったんだ。調子が悪い時に、優しい言葉を掛けてくれたりして…」
米球界を含め野球人生の中で、数多く仕えた指揮官を振り返ってみた。異彩を放っていたのが、栗山監督。人柄にほれた。チームメートも含め、温かいチームがお気に入り。「ありがとう。多く点を取ってくれた打線に感謝します」。同じユニホームを身にまとう、もう1つの“家族”のような存在にも恩返しした。
全身全霊で持ち味を発揮し、ロッテ打線を牛耳った。ツーシームにチェンジアップ、ナックルカーブを駆使した。両親らと並んだ、お立ち台でのヒーローインタビュー。「お母さんの前で、いい投球ができて良かった」と肩の荷が下りた。長髪の孝行息子がメキシコの家族にも、日本ハムにも報いた。【高山通史】



