偉大な先人に肩を並べた。日本ハム大谷翔平投手(21)がリーグ単独トップ、自己最多15勝目を挙げた。オリックス25回戦で最速160キロをマークするなど8回を3安打無失点、12三振と圧倒した。高卒3年目での15勝到達は09年の楽天田中(現ヤンキース)以来の快挙。球団の21歳以下では、07年のレンジャーズ・ダルビッシュに続いた。自身初タイトルとなる最多勝、防御率、勝率の3冠を確実にした。

 重圧から解放され、感情が全身に伝わった。大谷がラスト134球目、最高のフィナーレを決めた。薄氷の2点リードの8回2死一、二塁。この日は「ほかに使える球種がなかった」と生命線にしたスライダーに託した。岩崎を2-2から完璧な内角低めで、空振り三振。キックボクサーがひざ蹴りを見舞うような、ド派手なポーズ。射程圏の各タイトルを左右するマウンドだった。「自分でコントロールできないことは、意識しない」。無心を貫き、3冠をほぼ確定させた。

 時にアクセルを踏み、時に徐行した。ビッグネームが並ぶ上位打線にはギアを上げ、機を見て排気量を下げた。絶妙なペース配分でゲームメークした。2回先頭の中島には、この日最速160キロ。打順下位には150キロ前後まで減速するなどメリハリを利かせた。コーナーをいっぱいに使い、単打のみ3本。見逃し三振が5個と、大野の打者の虚を突く巧妙なリードにも応えた。

 自由自在、余力も残して節目の15勝目を挙げた。「最低限の目標にしてきたので。でも、こぼさなかったらもっと(白星を)取れた。結果的に数字が付いてきたのは、良かったですけれど」。背番号11を受け継いだダルビッシュと同じ3年目。エースとしての1つの判断基準となる白星を積み上げた。球界では09年田中以来。メジャーを夢見る未来が約束されたような次元へ、足を踏み入れた。冷静に切り捨てた。

 大谷 勝ち星で実力がどうのこうのではないと思うので。相手も、味方も違う。ただ、そういう数字に近づけたのは自信になった。

 2年目の昨季は11勝。今季は直球以外の決め球のフォーク、スライダーの精度が上がり、投球の引き出しが増えた。「(投手として)最低限のラインが上がってきた」と成長を確信し今、自負できる。クライマックスシリーズではファーストステージ、10月10日の第1戦で先発予定。残り5試合の公式戦は短いイニングの調整登板の可能性はあるが、事実上の「ラスト登板」で進化を証明した。花巻東時代は少し、もてあましていた最高の才能。ストイックな日々の努力と、向上心が化学反応した。プロ3年目で早くも、確固たる軌跡を刻んだ。【高山通史】

 ▼日本ハム大谷が入団3年目で初の15勝。高卒3年目以内の15勝到達は、09年の楽天田中(15勝)以来。日本ハムでは07年ダルビッシュ(15勝)以来となる。大谷はこの日のオリックス戦で12三振を奪い、今季10度目の1試合2桁奪三振をマーク。阪神藤浪の9度を抜き、今季両リーグ最多。シーズン10度以上の2桁奪三振は11年のダルビッシュ有(日本ハム=14度)田中将大(楽天=10度)以来、史上14人目(21度目)。チームでは10、11年に記録したダルビッシュに次いで2人目。