西武秋山翔吾外野手(27)がプロ野球界の頂に並んだ。オリックス戦でプロ初の5安打の固め打ちで94年イチローが樹立した日本人最多のシーズン210安打を一気に更新。10年の阪神マートンが持つ歴代最多の214本に追いついた。
20年以上のはざまがあり、秋山とイチローを単純に比較することは難しい。「いずれ誰かが超えるだろうと思っていました」。イチローは言ったが、試合数も違う。超えた、超えていないの議論は意味を成さない。だが2人には確かな相違点がある。
ともに数字に対するイメージ力がある。イチローは94年の安打ペースを分析する。当時は60試合で100安打を通過。「それを1シーズンで2回やって、残り10試合を1試合1本ずつのペースが210」。難しい計算ではないが表現が分かりやすい。
秋山は7月8日のオリックス戦で頭の中の計算機を働かせた。当時は27試合連続試合安打中。本拠地での一戦は敗色濃厚だった7回1死で前打者の9番岡田に1発が生まれた。「無理して打てないボールを打つより、もう1人出れば9回に打順が回る」。7回は四球を選び、9回は本塁打で記録を伸ばした。
打撃の型は違う。イチローとも対戦経験のある土肥投手コーチが評する。「自分みたいな変化球投手は泳がせる、詰まらせることを考えて投げる。イチローさんは崩せる感じがする。でも秋山は右肩の壁が崩れない。自分の形できっちり振る。振り切っているから内角の厳しい球もファウルになる」。イチローの方がくみしやすいのか。「抑えているイメージなのに数字は違う」。13打数6安打、打率4割6分2厘。崩されても、ヒットにする。「後から聞くと詰まってのヒットも狙ってのもの」。投手にとってはともに難敵だ。
いつの時代も記録に公平性はない。だが記録が生まれたからこそ、2人が同じ舞台に立っていたらという想像が膨らむ。【広重竜太郎】



