不振を振り払うように、笑みをこぼした。日本ハム中田翔内野手(26)がクライマックスシリーズ(CS)へ、のろしの一撃を放った。2回の第1打席。ロッテ涌井の108キロカーブに、会心のスイングが重なった。衝撃音に乗って、白球は左翼席に飛び込んだ。待望の1発は先制の30号ソロ。一塁ベースを蹴ると、思わず口元が緩んだ。「打った瞬間、手ごたえ十分。しっかり止まって打つことが出来た」。

 厚い殻を破った。プロ8年目で初の大台30号に到達。本塁打は同僚で34本塁打のレアードに「任せます」と託しているが、主砲の意地を見せた。4回には外角のボールを、バットの先で右中間へ巧みに流した。歯を食いしばり、二塁へ激走。体中にあふれる力を体現した。

 本塁打は19試合83打席ぶり、札幌ドームでは実に6月13日DeNA戦以来だった。CS第1ステージで対戦する可能性があるロッテのエース涌井を、早々に攻略し、チーム唯一の3安打猛打賞。この日、今季限りで引退を発表した中嶋兼任コーチの前で、頼もしい姿を見せた。「本塁打は、どうでもいい。チームみんなが1つになった」。最後まで、偉大な先輩の思いを紡いでいく。【田中彩友美】