目指すは天然記念物? 日本ハム栗山英樹監督(54)が秋季キャンプ休日の1日、沖縄・国頭にある「ヤンバルクイナ生態展示学習施設 クイナの森」を訪れ、世界でも沖縄本島北部にのみ生息する希少鳥ヤンバルクイナを観察した。環境に適合するため、走力と跳躍力に優れた生態に興味津々。無駄をそぎ落とし、生存競争に勝ってきた姿に若手選手たちを重ね合わせ「野球も一緒」と力説した。

 係員に質問攻めだ。施設を訪れ、人生初めてヤンバルクイナと対面した栗山監督は、「来てよかった」と多くを学んだ。「無駄を省いて、生き残ってきた。野球も一緒だよ。打撃でもそう」。愛くるしく動き回る姿に、4年間愛情を注ぎ続けてきたチームの選手たちを重ねた。

 ヤンバルクイナは世界でも沖縄本島北部にしか生息しない希少野生動植物種。国の天然記念物にも指定されており、絶滅危惧種でもある。環境に適合するため羽は退化し、ほぼ飛ぶことができないが、一方で走力と跳躍力に優れており、係員から「(ジャマイカの)ボルト選手くらいの速さで走ります」と説明されると、同監督は「へ~」と驚きの声を上げた。

 野球でヤンバルクイナを目指すとは…。たとえば打撃フォーム。シンプルなスイングで投球とバットをインパクトさせるのが理想だが、どうしても体の状態や力み加減で“無駄”な動きが生まれてしまう。「(田中)賢介なんかは本当に無駄がないもんね」。自身の打撃理論が確立し、メジャーも経験した田中は、すでにヤンバルクイナの仲間入り。同じことは投球動作や走り方にも言えそうだ。

 また環境に適合した進化という意味でも、ヤンバルクイナに学ぶべきものがある。同監督は「チームに貢献するためには、自分がどう進めばいいのか」と話す。強打者ばかりでも、先発完投タイプの投手ばかりでも、チームとしては機能しない。各選手が自身の特徴を打ち出し、“希少種”として存在感を示せば、1軍に生き残っていける。

 帰り道、ガードレールの上にたたずむ鳥を見つけて「おっ、ヤンバルクイナ!? なんだ、カラスか…」と、肩すかしを食らった栗山監督。チーム内で多くのヤンバルクイナに出会うことを求めている。【本間翼】

 ◆ヤンバルクイナ(ツル目クイナ科) 全長は約30~35センチ。沖縄本島北部を指す、やんばる(山原)に生息する鳥で、1981年に新種として発表された。かつて外敵がおらず、地上のエサが豊富だったため、ほとんど飛べない特異な生態になったとされる。地上の生活に適応するように足の骨格が発達し、土の中の昆虫などを捕食する。マングース、野生化したネコなどが外敵とされ、生息個体数は13年以降1500羽前後と推定される。国頭村の村鳥で、9月17日を「クイナの日」と設定している。