剛腕復活の兆しが見えた。楽天安楽智大投手(19)が16日、沖縄・宜野座で行われた阪神との練習試合に先発。2ランを浴びるなど、3回3安打3失点だったが、直球は最速151キロを計測した。高校時代は最速157キロを記録した剛腕も、故障の影響でプロ入り後の最速は149キロ止まり。与田投手コーチの指導を受け、2年目でようやく150キロの壁を越えた。開幕ローテ争いへ、14年のドラフト1位が名乗りを上げる。

 熱狂的な虎党からも、歓声が上がった。1回1死から安楽が阪神北條に投じた初球だった。ぐにゃりとムチのようにしなる右腕を振りぬくと、外角低めへ弾丸のような直球が放たれた。打球は捕手方向へのファウルとなる。その瞬間、球場がドッと沸いた。「150キロ」。球場のスピードガン表示に、追い求めた数字が刻まれた。「150キロを超えたのは自分の中ではうれしい」。手応えが違った。

 ギアはさらに上がる。北條への2球目も外角低めへと続けた。150キロ。力のない三邪飛に打ち取ると、続く今成に投じた1球目。今度は高めだった。151キロ。ボール判定だったが、プロ入り後初めて150キロの壁をぶち破った。「ストレートがどれだけ通用するかが課題だった。いい球と悪い球がはっきりしていた」と反省を口にしたが、表情には充実感がにじみ出た。

 力の伝え方を変えた。昨秋の倉敷キャンプから与田投手コーチと、復活を掲げフォームを修正した。リリースの瞬間に軸足を真っすぐに捕手へ向ける。これまで膝が三塁へ向いていたため、下半身にためた力が指先に伝わっていなかった。ウエートトレーニングも積極的に行い、増量。「本塁方向へ力が伝えられた。秋からやってきたことができた」と全てがかみ合った。

 悔しさも力になった。14年ドラフト1位。最速157キロ右腕と注目されたが、高校時代にわずらった右肘尺骨神経まひの影響は大きかった。ライバルと目する西武高橋光、巨人岡本らが1軍で活躍し始め、「同級生がいいカッコしているのに、追いつけない」と焦りがつのった。だが、10月5日のプロ初登板で初勝利。同期に半歩遅れながらも開幕1軍を目指す、2年目のモチベーションとなった。

 3回には西岡に2ランを浴びるなど、反省点はある。「変化球をもっと投げれば三振を取れた。次は試合を作れるように」と前を向く。剛腕復活へ、1つずつ階段を上がる。【島根純】