表情を緩めず、打球の行方を見つめた。5回1死一、二塁。巨人坂本は日本ハム吉川の真ん中スライダーをバットの真芯で捉えた。高く舞い上がった打球は、試合を決定づける2試合連続アーチとなって左翼席中段に飛び込んだ。「一発で仕留められたので良かった。完璧。(菅野)智之が投げている試合で援護できていなかった。良かったです」とホッとした表情を浮かべた。

 ミスを取り返した。3回には盗塁を刺そうとした捕手の二塁送球をはじき、5回には一塁にショートバウンド送球と、失策を重ねた。ギリギリの打球も追いついてしまう守備範囲の広さも原因の1つだが、これで両リーグワーストとなる11失策。菅野の登板試合では、なぜか6失策も犯している。「後輩ながら、後ろ(遊撃手の守備位置)から見ていて頼もしいですね」というエースの背中に、取り返そうという気持ちが強くなりすぎてもおかしくない。

 責任感が空回りにつながらないよう、今季は「良い時もあれば悪い時もある」が口癖。この日も「取り返そうというよりも、切り替えてひとつひとつのプレーを集中してやろうとしていました」。必要以上に失敗を顧みず、目の前の1球に力を注いだ。

 頼れる先輩の“復活”にも背中を押された。5月31日の交流戦初戦から阿部が帰ってきた。「いるだけで引き締まる。頼もしいです」。後ろにも強打者がどっしり控えている。力むことなく冷静に失投を待てたからこそ、ひと振りで汚名を返上できた。それでも「今日もエラーしましたし、守備をうまくなるようにやっていきたい」と反省。余韻に浸らないところに今季の坂本のすごみが表れている。【浜本卓也】