楽天金刃憲人投手(32)が、ピンチで大きな仕事を果たした。

 2-1の6回、2死満塁と一打出れば逆転の窮地で、先発美馬からバトンを受けた金刃は、「久しぶりの満塁での登板だったが緊張感はなく、落ち着いていた」。鈴木に対しカウント2-2からの6球目、足立のサインはカットボールだったが首を横に振った。「前回(10日のロッテ戦)、QVCで投げたときにタイミングが合っていなかった」。打席での鈴木の反応を確認し、最も自信のあるスライダーを外角低めに投じ、中飛に打ち取った。見事な火消しを演じた金刃は、「ここでどうしても切りたかった。悔いのないように投げて、いいところに決まってくれた」と、会心の投球を振り返った。

 今季、プロ野球史上初となる2度の1球勝利を達成した左腕は、「厳しい場面で投げることが多いが、先発に勝ち星をつけて信頼を得るのが自分の役割。今日も美馬のため、チームのために投げた」と思いを語る。ピンチを脱した金刃に梨田監督も、「今日は金刃やね」と最敬礼だ。現在、15試合連続無失点中の不動のセットアッパーが、チームに勢いを与え続ける。