首位広島が打線爆発で9連勝を飾った。不惑の4番新井貴浩内野手(40)が、40歳以上で球団では衣笠祥雄以来30年ぶりとなる2打席連続アーチ。エルドレッドも2打席連発するなど、11安打9得点で巨人を圧倒した。投げてはドラフト3位床田が7回5失点でプロ初勝利。昨年のセ・リーグ王者が開幕から4カード勝ち越しと早くも独走の勢いだ。

 バットを持ったまま「新井さん」は打球の行方を見つめた。鋭く低い弾道が、そのまま右翼スタンド中段に突き刺さった。同点の3回1死一、三塁で2打席連発となる3号決勝3ラン。「みんながつくってくれたチャンス。オーバースイングに、強引にならないように気をつけた」。2回の第1打席は内角低めのカットボールをすくい上げて左翼スタンドへ運んでいた。剛と柔を兼ね備えた強打者ならではの2発に「4番」らしさを詰め込んだ。

 開幕から9試合で4番を張ったが、前日11日は休養のためスタメンを外れ、22歳の鈴木に4番を譲った。「誠也に限らず、みんなが自分の役割を果たしている」とうなずいていた。自身も代打で出場しての勝利に「休みじゃないでしょう」と笑っていたが、打線の据わりの良さは、代打よりも、やはり「4番・新井さん」だ。

 今オフは、いつになくうれしそうだった。松山や鈴木が4番候補に挙がっていた。松山は「新井さんから奪う」とまで宣言。新井は「自分がいつまでも4番を打っているようでは、カープの今後を考えるとダメ」と真剣に言った。そして「かかって来いという気持ちが半分。もう半分は本当に打ってくれと。新井さんゆっくりしてください、とね」と続けた。誰にも負けぬカープ愛がある。